「山本武!!」
「みょうじ?」
いつものように和みオーラ全開のそいつの名を叫ぶ
今日こそ、倒す!!
「さぁさぁ、観念しなさい!!いよいよ決着をつける時!」
私はこの春、並盛に転校してきた
部活は野球部
え、男?そんなわけないじゃない
れっきとした野球女児
結構、上手なほうで前の学校では、男子がめちゃめちゃ弱かったもんだから、私がエースだったようなもの
並盛でも、野球部に入って活躍するぞ!!
と意気込んでいたのに…
すでにエースがいた。
しかも私と同じポジションの!!
普段活躍してる奴だから、どれだけまじめな奴かと思ったら、冗談じゃないぐらいテキトーなヤツ
夏休みは補習で練習が行けないかも…
とアイツが顧問に言ってたのを聞いてから、
私は完全にヤツを敵視した。
私は女の子で、それは逃れられようのない事実で。
男の子に負けたくなくて練習して練習して、補習で練習できないなんて絶対イヤで勉強して、それでようやくボールを投げれている
そんな私をあざ笑うかのように、私の前に立っているアイツ
向き合うのではなく、私に背中なんか見せて。
私が名前を呼んだそいつは、嬉しそうに手なんか振って
「みょうじ、オレと勝負しよーぜ」
出たなこの野郎
何で勝負するか。やっぱここは…
「みょうじをオレに惚れさせる試合なのな!!」
は
なにいってんの
「みょうじがオレに落ちたらオレの勝ちな!!」
負ける気しねーけど
そういった彼の満面の笑みに
奪われた、
(ポジションも、心も )