鈍く光る鉄の塊とダイヤモンド、どちらも同じ鉱物であるというのに、なんたる格差だろうか。人はきらきらしたものに惹かれるきらいがある。同じくらい高価であっても、レアメタルを身に飾る富豪はいない。人はきらきらが好きなのだ。そしてきっと、きらきらへ憧れる気持ちの根っこには宇宙がある。つまりダイヤモンドとは、星のきらきらなのである。人は星に憧れ、ダイヤモンドの輝きを愛で、未だ宇宙への夢を捨てきれずに夜空を見上げては悩ましく溜め息を吐く。
隣の男も同じだった。星を掴みたいけど駄目だろうなあ、という顔で頭上のきらきらへ何度も何度も手を伸ばす。ただひとつ彼が他の人々との間に若干の差違を持つとすれば、彼が自らきらきらを生産できることだろうか。主に髪の毛の先辺りから、雫を垂らすようにはらはらと光の粒子を溢し続ける。真っ赤な髪もエメラルドの目玉も、同じ星から生まれ出たとは思えないほど隙のない美しさだった。
宇宙人が世界一綺麗な地球人を作ってみましたと言わんばかりの神秘性をもってして生まれた彼は、度々問われる。貴方は宇宙人なのですか、と。
すると、彼はその美しい殻を器用に歪めて答えるのだ。ええそうです、だけど僕は生まれた場所へ帰ることができません。僕は帰れなくなった、哀れな宇宙人なのです。スタッカートで区切られた、言葉というよりも音のお遊戯に近い声でそう答えるのだ。
ただ柔らかく微笑み、美しく、美しく、彼はそう答えるのだ。

俺は知っている、彼がひどく宇宙に恋い焦がれていることを。それは果たして、彼が遠い故郷を愛する故か、はたまた無知なる人である故か。きらきらに惹かれた地球人には知るよしもなかった。







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