は、は、



息苦しい。充分な酸素を吸えなくて肺がきゅうっと痛みを訴え縮こまる感覚が、ひどく辛かった。

ああ誰か助けてくれないか。苦しい、苦しいんだ。
がちがちと固まった体を置き去りにして、視線だけが宙を泳ぎだす。なんだか見ずらい、なんでだろう。分厚いレンズを通してるみたいだ。わけのわからないままあちこちを動かそうとしてみて、やっとうろうろともがくみたいな動きで手が動いた。


実のところ、その手を握ってくれる人など誰もおらずただ虚しく宙をかくだけであることを、妙に冷めた頭の片隅で俺は知っていた。だけど諦めがつかなくて、それはそれは愚かしい思考回路がメビウスの輪の様なエンドレスループを形作っては、過去形となってしまった関係に未だ馬鹿みたいにすがり付こうとしている。つまりのところこれは悪あがきであり、端から見ればその姿はさぞ醜いのだろう。まったくもって馬鹿みたいな話である。自嘲と苦しさで涙が滲んで、もがいていた手のひらで強く胸元を握りしめた。






ああ誰か助けて、溺れて死んでしまいそうなんだ。あの綺麗な髪と同じ色をした海の、深い深いところに沈んでいきそうなんだ。



なあ、風丸。助けてよ。







激情に身を焦がす俺を見て君は笑えばいいさ



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