ギシギシとベッドが軋む音を聞きながら、音も無くさらさら揺れる青色の髪の向こうに覗く見慣れた天井の木目を眺めた。生憎照明を落とした薄暗い室内では目で辿るほどにくっきりと見えなかったけれど、茶色い天井板は涼やかな風丸の髪の色を綺麗に浮かび上がらせて視界をたくさんの風丸がうめつくしてくみたいだった。


「円堂?」


どうかしたかと風丸が尋ねてくるけど、動きを止める素振りは皆無でとても口をきける状況じゃない。かろうじて首を横に振って何でもないと伝えると、浅いキスを返された。べたべたの体やしていることと不釣り合いなほどに可愛らしくて優しいキスを何度も何度も繰り返す。いつものように結われていない真っ青な髪が風丸の首筋を流れて俺の頬っぺたを撫でて、くすぐったいようでいて不思議と気持ちいいようなよくわからない感覚になった。
ぐちゃぐちゃに響く音と意識が混ざり合って、色んなものが溶け落ちて、背筋が震えて、何かを忘れてしまいそうで、腰が痛くて、身体中が重くて、気だるさに負けて、この行為は最初から最後まで酷く億劫だ。


「円堂、好きだよ。大好きだ」
「俺も、大好きだ風丸」
「はは、10年以上片思いだったのにな」
「気づかなかったんだよ、ごめんって」
「いいんだ、鈍いのも円堂の良いところだから」


そう言って風丸はまたひとつキスをする。

腰が痛い。身体が重い。恥ずかしいしもの悲しいし申し訳ない。脳の片隅が焼ききれている。今にも眠ってしまいそうなくらい疲れた。きっと明日の練習はいつもよりずっときつく感じるんだろう。
それを分かっておきながらも互いの頬が触れあうくらいの距離で微笑み手と手を絡ませ愛を囁きキスをする時間を尊いと思うから、俺は毎度億劫で仕方ない行為に身を費やしているのだ。





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