「……遅い」
「…仁王が」
「何、人に罪擦り付けよるんじゃ」

「あー。も、早く行きしょうや」
自分で遅い言っといてアレだけど。でも私もう只でさえ疲れたんだよ。昨日興奮した由良の話を一晩中電話越しに聞いて(寝たかったけど由良怒ると怖いから寝れない)、そして睡眠をた〜っくさん摂らなきゃやってけない私は勿論のこと睡眠不足で…。その上由良は朝早くから家に来て、朝ぐっすり寝る暇もない。そして由良はすぐにでも雅治に会いたいため、早く待ち合わせ場所に行って何時間も待ったというね…。だから只でさえ遅い二人があり得ない程遅く感じた(足が棒のようだ)。
ていうか私は、こんなんで遊園地を満喫出来るのだろうかと後先不安になった。でも、それよりも気になるのが由良の身体。私と同じ睡眠しか摂ってないはずなのにピンピンしている。まあ恋の力ということにしておこう(恋の力って怖ええ)。


あれから、遊園地内を巡った。うん…アレ以外は。
「……ねえ由良、ベタすぎない?」
コソッと雅治や丸井に聞こえないようにそっと耳打ちした。由良は、ベタで結構!と真面目な顔で言った。
まあベタな展開だけど…ここで由良と雅治を二人きりにするのだ。観覧車に。それでまあ由良が告白。作戦終了、というね。
「ねえ、二人ずつ乗ろうよ」
私の提案にみんながオッケーを出した。…どうやって二人きりにさせよう。考えてなかった。まあ適当でいいか。
「私と由良で乗ってもいいんだけど、それじゃつまんないしなあ…。よし、じゃあ私丸井と乗る!行くよ丸井!」
と、半ば無理矢理丸井を掴んでさっさと乗った。

「…ふう」
「なあ名字」
「何?」
「あいつ仁王のこと好きなわけ?それとも…」
私と丸井は向かい合って座っていたが、丸井は私の隣に座って、お前が俺のこと好きなわけ?と私の顔を覗きながら言った。何か…こりゃ丸井がモテるの分かるわ。カッコいいもん。でも…
「それはない」
私がそう言うと、丸井はだろうなと言った。そして、丸井が隣から退こうとしてるとき、好きになれたらいいんだけどね、と呟いた。かなり小さく呟いたはずだが、どうやら丸井には聞こえていたようで少し目を見開いている。
「何でだよぃ」
「私と丸井が…ああ、何でもない」
昔話なんか、初めてまともに話したような人にする話じゃないな。ということに気付き、口を閉じた。
「途中まで言ったんだから言えよ」
「んー……」
「俺じゃ話しにくいなら別にいいけどよ。でも、お前がいいなら聞かせてもらうぜぃ?」
丸井の言葉に、驚きながらもありがとうを言うと、丸井はちょっと照れたのか目を逸らした。
「ははっじゃあ、お言葉に甘えて聞いてもらおうかな?」
「おう」
「えと…あ、もうすぐ一周だ。丸井、また今度聞いてくれる?」
丸井が頷くと、一周したようでドアが開いた。私達は出て、仁王と由良を待った。そしてすぐ、由良が勢いよく出てきて、私は思わず顔が引き攣った。でも由良は真剣な表情で、大事な話があるらしく、この場所から少し離れた。

「名前」
「何?」
「告白、なんだけどね……」
ドクン
心臓が大きく跳ねた。丸井と一緒にいて、そのこと完璧に忘れてた。まだ、心の準備が…っ
「……出来なかった…っ」
「え……?…何で…?」
「仁王君…好きな人、いるって…っ」
由良のその言葉に、目の前が真っ暗になった気がした。



覧車、
(そこで彼は、)(言ったそうだ)

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