由良と雅治が付き合うことになってから、何日か経った。変わったのは、私が雅治から仁王に呼び方を変えたこと(彼女いるから)と、あと毎日が辛いっていうこと。うちのクラスに、毎日雅治が来るから。それは別に構わないけど、由良…仁王の彼女のために来てるから。毎日由良と雅治が一緒にいるところを見ると胸が痛い。学校なんか来たくない。


次の日、そんな私の想いが届いたのか、熱が出た。そして、私は学校に行かなくて済んだ。
「………んー…」
音楽聞いたり、テレビ見たりしたけど…暇だ。携帯もずっとしてたら、目とか頭が只でさえ痛いのに、もっと痛くなるし…。そこで、どうしても学校のことを考えてしまう。今みんな何してるかな…とか。でもそうすると自然と親友の由良のことを考えてしまうわけで…。由良といえば雅治なのだ。
今日も、由良と雅治は仲良くしてるんだろうなあ…。二人の姿を思い浮かべると、やっぱり胸が痛い。
………寝よう。そうだよ私。寝ればいいじゃないか。何で最初から寝なかったんだろう。


「………うおえぇ!?」
「何て声出してるの、名前…」
ビックリだよドッキリだよ、コレ。起きたら由良が…、気まずいデス。由良にとってはそうでもないんだろうけど、私はとっても気まずいです。あれから何かと由良を避けてた私だから。由良が気付いてるかは分かんないけどね。
「名前」
「な、何?」
「最近避けてたよね、私のこと」
バレてたー…。どうする、どうする、どうするよ私!
「そ…そんなこと…」
「嘘つかなくていいよ」
友達に、はい避けてましたーなんて正直に言えるわけないじゃんと心の中で愚痴る。そんな私の気持ちを悟ったのか、由良が苦笑いした。
「じゃあ、私の話聞いてよ」
「…うん」
「仁王君…凄く優しいね。だけど、ちょっと辛いかな。」
優しいけど辛い。その意味が全然分からない私は、由良の解説を待った。
「……うちのクラスに毎日来るでしょ?それに、助けてくれる。」
「え…?じゃあ……」
何が辛いの?その私の気持ちは言わずとも届いたようだ。
「…私のこと好きじゃないみたいだから。私最初は…気持ちが私に向いていなくてもいいって思ってた。振り向かせてみせる、って。でもね…仁王君と付き合ってみて分かった。気持ちが自分に向いてないと辛い。振り向かせることも、無理みたい。
だからさ…別れることにする。」
「え!?」
「もう仁王君と話はつけてるんだ。謝られちゃったよ。」
そうやって笑う由良に、心が傷んだ。
「だからさ、私仁王君の恋を応援しようと思うの」
素直にすごいと思った。自分の好きな人の恋を応援するなんて。でも、なんでそれを今私に言うのかが今一分からなかった。由良は、一々そういうことを人に言う性格じゃないからだ。

考えている間に、由良は電話していたようだ。余計訳分からなくなった。何で今電話する。
「上手くやりなさいよ、名前。私の分も幸せにならないと承知しないから。」
言いたいことだけ言って、由良は部屋から出ていってしまった。と、思ったらすぐにまたドアが開いた。そこには、私の幼馴染みがいた。
「ま…雅治……」
そこでハッとなり、まだ仁王君って呼ばなきゃいけないかな…なんて考えた。いやいや、それよりも何で此処に雅治が…。

ふと、さっきの由良の言葉を思い出した。まさか、由良が…?
「名前…。俺、由良に怒られてしもうた。」
雅治は、情けないのう、とか笑いながら言ってたけど急に真剣な目になった。
「名前がやっぱり好きじゃ。名前が由良と付き合ぅて欲しいみたいだったから、由良と付き合った。もしかしたら好きになれるかもしれん、と思ぅたし…でも、無理じゃった。俺には名前しかおらん。
名前…好いとうよ」
「えと、あ…。…私、も……」
言ってしまえば簡単で、こんなことを言うのにこんなに時間がかかったんだと思ったら、なんだかバカらしくなった。これからは自分の気持ちに素直になろう。
雅治は、私の返事を聞くと頬を染めて、はにかんだ。そして、それを私が可愛いなあ、とか思ってる間に、雅治に私はキスされた。不意討ち…
「あんとき我慢するの大変じゃったよ」
あんとき、って言われても分かんない。そんな顔を私がしても雅治は私を無視して、可愛い雅治じゃない雅治が、妖艶な笑みを浮かべて、私に迫って来たのだった。



しか
(好きに、)(なれないの)





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