今日私は西浦に転校する。なぜ西浦を選んだかと言うと理由は二つ。引っ越し先と家が近かったことと、知り合いがいることだ。私は前の学校の友達と別れて寂しいという気持ちもあったが、新しい学校という入学式のような気持ちを味わえてすごく楽しい。転校なんて生まれてはじめてだから。ああああ、どんなところなんだろ!ほんっと楽しみだ!

ガラガラ
「わ、可愛い〜!俺めっちゃ好みなんだけど!」
ガラガラ

前言撤回。え、何今の幻聴?私としたことがモテたいとか心の奥底で思ってたのか。
私は一先ず落ち着いて、開いてすぐ閉めた教室のドアにもう一度手をかけて開けようとした。でもそれを私の体が拒んだ。
あれ、何これ拒絶反応?え、すげえ何これ。でもおいこら私に勝てると思ってんのか。ざっけんなよ。私が自分に負けると思ってんのか。ほらドア開けてやんよ。
尚早壊れていく私のキャラにちょっとだけため息をつきたくなった。ちょっとだけ。ほらもう治った。なんて頭の中でよく分からない掛け合いをして、今度こそドアを開けた。

ガラガラ
「今日転校してきた、名字名前です。よろしくお願いします」
私はずっとやってみたことがある。それは、こういう知り合いがいないところでしか出来ないこと。まあ知り合い一人いるけど、一人ぐらいなんてことないさ。私のしてみたかったこと…それは、清純で大人しくて可憐なウフフなキャラを演じきること!
自分の性格とは丸っきり違うからやってみたかった。今回はチャンスなんだ。やらないでどうする。でも、早速私のキャラ崩壊しそうです。
みんなに拍手されて席に着いて休憩になったらあらどうでしょう。男の子がすっげー話しかけてきます。スキンシップの激しい子です。
「名前なんて言うのー?」
「名字名前です」
さっき言ったんだけど。私のスマイルと一緒に言ったんだけど。聞いてなかったのかよ
「あ、敬語じゃなくていいよー。あ!それとも普段から敬語?敬語キャラ!?うおー現実にい」
「お言葉に甘えて普通に話すね」
なんだこいつ。まじうぜー。思わず本音が漏れそうになるんだけど。つか私の計画を壊す気か。敬語キャラっていう設定あったんだけど。あまりのウザさにその設定は中止したけど。つかもし意図的にやってんなら容赦しねえ。男だろうが女だろうが私の計画を阻むやつは私の前から消してやる。メロンパンで引いてくれるかな…。

べたべた
「………」
ほんっとスキンシップ激しいんだけど何こいつ。べたべたべたと暑苦しいったらありゃしない。今夏ですよ。分かってんのかなこいつ。
「夏だね」
「暑いね」
一応言ってみたら…何なんだよホントに。暑いなら引っ付くなよ。つか誰か止めてくれよ。ほんと何なんだよ!

「水谷。スキンシップも程々にしとけよ」
お。いるじゃん止める人。つか止めるならもっと速く止めろな。すっげー暑かったんだぞ。



スキンシップじゃなくてセクハラです
(お前それ自分で言うなよ)(つか分かってんなら引っ付くなよ!)



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