黄金 | ナノ
高いところが好きだ
高い高い空、そこには海が、かわが、水が無い
水は嫌い
俺を殺そうとするから
「だから俺は灯台に登るんだ」
「そんな理由なんですか」
「好きでも嫌いでもどうせ登るんだ、好きなほうが良いだろ。楽しい」
18、という歳にしては子供すぎる理由ですね。
青い髪の青年が微笑しながら言う
水がきらい。だから、水を使ってどこにでも現れるお前はきらい。
ふふ、と笑いながら黒い髪の青年が言う。
「それは残念です」
残念でもないくせに。
「うそつきだな、アレクス」
「嘘は嫌いですよ」
二人が笑う。空の高いところでゆっくり雲が流れる。
「でも、水がきらいだということはあなたは世界が嫌いなんですね」
風が吹くと彼の青い長い髪が水がきらいだという青年に水のように絡み付く、それをふと青年は掴んで引き抜きたい衝動にかられた。
「水蒸気もありますし、空気にも水があります。地面も水を含んで、あなたの好きな高い空にも雨を降らせる雲がある」
成る程、先程の衝動をすでに忘れて青年は空を仰ぐ。
「…やっぱり水は嫌いだ」
「なぜですか?」
「水が俺を殺そうとするから水が嫌いなのに死ななきゃ嫌いなものだらけのこの世界から逃げれないじゃないか」
本末転倒だ。
そうつぶやくと水のような青年が私はあなたが好きですよ、とつぶやきにかえした。
「ほらな、アレクスはうそつきだ」
この会話をする間、二人の視線があうことはないのである。
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ハイディア出発前とか
兄さん水がトラウマだとかわいい
2009/08/15
遅い反抗期(アレ+兄)