※現代
下に小さく見えるプール、プールサイドにはこちらを見上げる真田の旦那に政宗、元親に元就そして慶次。
僅かに震える足、隣にはいつも通りの顔で平然としている片倉の旦那。
そして今俺様達が立っているのは飛び込み台の一番上。
どうしてこうなったんだ。
俺様はただ普通に泳ぎにきただけなのに!
政宗が貸し切りにしたというプールに誘われて皆できてはしゃいでた。
俺様は休みにコイビトにあえると二重に嬉しかったし。
皆思い思いに泳いでいた。ところが真田の旦那と政宗が競争をはじめて、ヒートアップしてくると元親が乱入。
ますます激しくなるも決着はつかず、それならばと元就が飛び込みを提案したのがこの状況をつくったんだ。俺様と片倉さんは確実にとばっちり。
「どうした!猿飛!さっさと飛び込めよ!」
「片倉サンもよぉ!猿飛待っとく必要ねぇぜぇ!」
下から野次が飛んでくる。政宗と元親後で水に引きずり込むからね。絶対!
今この状態で1人にされたら確実に飛び込めなくなる!
「か、片倉さん、一緒にとんでよ。頼むから…」
下から横に目線をずらして隣の人に声をかけた。
「お前を待ってたらビリになるじゃねぇか。俺はあんな罰ゲーム受けたくない。」
その言葉に顔をしかめる。
そうなのだ。
この飛び込みには罰ゲームがある。飛び込み台に上がってから飛び込むまでのタイムをはかってる。
提案者の元就が時計で確認中。
二人ずつ上がってはかるのだが、政宗と真田の旦那は上がりきるなり叫びながら同時にダイブ。
次に元親と慶次、2人ともしばらく上でうろうろして、元親が先に飛んだ。
意外にも高所恐怖症気味の慶次がそれから少しして飛んだ。
そして俺様達。
ああ、こんなに高いとは。いや高いのは大丈夫なんだけど飛ぶの、が。
「ちょっ…と!俺様だってイヤ!2人でビリなら2人でするじゃん!」
「絶対に嫌だ。」
「愛しの佐助くんがあんな辱めをうけてもいいっていうの?」
茶化してみたのは気持ちの切り替えをはかってみてのことだったけど片倉さんにはうざかったらしい、ため息をつかれた。
「うるせぇな」
ぼそりと聞こえたと同時に景色がスローモーションにみえた。
片倉さんが、縁に爪先をかけて、
「あっ…まっ!」
ぽん、とそりゃもう格好よく俺様の前から飛び降りた。
次にはバシャン!と大きな音。
「ああああああ〜!」
俺様は間抜けな声をあげる事となった。
さっき言ったこと冗談だったけど、冗談だったけど!ほんとに怖がるコイビト置いて先にいきますか!この唐変木!
と、あの人を責めている場合じゃない、このままだとほんとに俺様がビリになる!
慶次の記録をこえる前になんとか!
「猿飛」
ぐるぐる考えていると下から片倉さんの声。
四つんばいで縁まで行って下をのぞく。そこにはまだ水から上がっていないあの人。
「早くこい。お前が来るまであがらず待っててやるから」
そう言って笑うコイビトを待たせる事なんてできやしない、よね!
バシャン、すぐそば、耳元で大きな音がした。
幸い、俺様は罰ゲームを逃れて、ビリの慶次はプールの真ん中、プールサイドで爆笑する政宗と元親、無表情の元就に携帯でムービーを撮られながら情けない顔でシンクロをしている。
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2011/08/22/
一気に打ったのでめちゃくちゃ…