小説 | ナノ


自覚して、少し考えてみた。
結局俺は灰原に振り回されていただけなんだろう。
いや、灰原を捕まえるつもりで灰原に捕まっていたんだ。
なぜ思い出せなかったのか、いくら考えてもこれだけがわからない。信じたく無かったのか、灰原がそうし向けたのか。
再び目覚めたあの場所に灰原がいたのはなぜなのか。
俺が目覚めるのを、待っていたんだろうか。

目の前には俺が倒れている。そこに確かに存在しているように。

だがこの世にもう、俺の体はどこにもない。当たり前だ最初の終わりから八年も経っている。


俺は、『これから』なにをすればいいのだろう。
自覚してなお俺がここにいるのは。
それはあの子を守ってほしいと頼まれたからか。

見守らなければ。見届けなければ。
それが俺の本当の終わり。

目の前の俺はもう目覚めない。そして、俺が目覚めないと灰原はあらわれない。

思い出すなと言ったお前は終わりを恐れていたんだろうか。
思い出させるように目の前に現れたのは終わりを望んでいたのだろうか。


終わりを見るために灰原病院の扉をひらく。こうして入ることはもうない。
灰原に呼ばれた気がして、振り返ると倒れていた俺はもういなかった。










霧島と、もっと。アンタと、居たかった。
けどもう解放してやるよ。
―――――――――――

本当は私自身よくわからないんですがあの長さんが追っかけてた耀は長さん自身の記憶なのか、耀がそこにいたのかどっちなんでしょう

耀からの電話だけが違和感があって、なんだか長さんに思い出してほしくないような…
そんな気がしたので




耀長(零 月)
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