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「なあ、いい加減にしてくれよ」

ほとほと呆れ果てたと少し下から吐き出される声に青紫色をした髪の青年の指がわずかに止まった。

「もう少しだけだ」
「お前なぁ…三回は聞いたぜ?それ」

体勢もきついんだぜ?
猫の耳尾を持つ青年はまた動き始めた指に今度こそため息をついた。

頭を屈めさせた猫の耳を正面から中腰の体勢のまま両手の指で愛でている青年アイクは普段の仏頂面をわずかに崩し珍しくご機嫌だった。




行軍中、軍の皆の休息が必要だと軍師の判断でとられた休息が一時間ほどたった頃、高い木の根元で人型のまま猫らしく丸まって眠るライをたまたま見付けた件の将軍様は傍らに屈み、あろうことか腕を引いたのである。
眠っている体はなんの抵抗もなくそのままアイクの胸板に頭をぶつけ、

「いてえ!」
「ああ悪い、そのままじっとしててくれ」
「は…はああ?」

ぐ、と上から軽く頭を押されたライは目の前の男になにを言っても無駄なことを残念ながら嫌というほど学習していた。
鼻がいてぇ、安眠妨害だ
ぶつぶつと文句をいいながらもされるがままに耳を触らせる猫に要はアイクは満足していた。



「30分はたったぜ〜?アイク…そろそろくすぐったいし耳離してくれるとありがたいなぁ?」
「ああそうだな、次は…」
「次は!?まだなんかするきかよ!」

驚愕し、慌てるライとは対象的にアイクは耳から離した手を自らの真顔の顎と膝にゆっくりと乗せ思案した。

「よし、ライ化身してくれ」

すぐにアイクは一度うなずくとそう言った。
悲しいかな、ライは本当に残念ながらアイクが一度言いだすと聞かないことを分かっていた。

「はいはい、どうせ肉球でもさわりたいんだろ…」
「ん?それもいいな」
「違うのかよ…」

話をするだけ無駄だと獣の鳴き声をあげてライは猫の姿をとった。

「で?なにがしたいんだ?こうなりゃとことん付き合ってやるよ」
「寝転んでくれ」
「はいはい、どーぞお好きなように」

アイクに腹を見せるように横向きになるとくわあ、とひとつあくびをする。
が、喉元に素早くいれられた指に口を大きく開いたまま全身の毛を逆立て固まることになってしまった。
指を入れた本人は先程より笑みを深くしてさらにご機嫌である。

「そんなに驚くことないだろ」

普通驚くだろ!
そう言おうとして口を動かそうとした時喉元の指がゆっくり左右に動いたことで体の力が抜けていた。

まあ、いいか、
戻ってきた眠気に逆らうことなく目を閉じ大きな猫は喉を鳴らした。


「やっぱり猫は猫だな」
眠ってしまったライをしばらく同じように撫でると静かに離れ元はライが寄りかかっていた木に寄りかかり、将軍は眠った。






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2010/11/11
にゃんにゃーん




アイ+ライ(FE蒼)
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