いたずらを、君に


常日頃から同居してるアスカにいろいろなことをしたいと思ってる僕だけど、そんな僕の欲望…いや、願望が叶う素敵な日があることがわかった。しかも嬉しいことにその日が明日、厳密に言えばあと1時間くらいでくる。
というわけで、本当ならもう寝なくちゃいけない時間なんだけど今から明日のハロウィンの計画を立てることにしたよ。


ほら、ハロウィンって仮装するでしょ?その仮装を何にするか決めなきゃいけないし、それにアスカにいたずらしようにもいつもポケットにお菓子を入れてるアスカのことだから「ったく、ガキみたいなことしてんじゃないわよ!」って怒りながらもそのお菓子を僕にくれると思うんだ。だけど、そのお菓子をもらうといたずらはできなくなるからそれをどうするかも考えなきゃいけないし…
いや、別にアスカからお菓子をもらうのが嫌なわけじゃないよ?でも、せっかく明日はハロウィンで合法的にいたずらができる日なんだからさ…やっぱりいたずらがしたいよ。アスカにいたずらがしたいよ。アスカに性的な……



…え、えっと…まずは仮装だけど、時間もお金もないからシーツを頭から被ろうかなって思ってるんだ。それか、もういっそのこといつもの格好で中学生の幽霊ってことにするとかね。あっ、前にテレビで見た仮面舞踏会みたいに目のところだけを何かで隠すっていうのもありだね。
えっ?いくら何でもやる気がなさすぎだって?仕方ないだろ、僕の目的はハロウィンを楽しむことじゃなくてアスカにいたずらすることなんだから。仮装なんてどうでもいいんだよ。アスカにいたずらできればそれでいいんだよ。だって、僕はアスカのことが…


…まぁ、それはともかく次はどうやってアスカからお菓子をもらわないようにするか、だよね。
正直、常にいろんなところにお菓子を入れてるアスカにお菓子をもらわないようにするのは難しい。でも、アスカがお菓子を持って入れないところにいるときにトリックオアトリートすればなんとかなると思うんだよなぁ…例えばお風呂とかトイレとか。

…うん、殺されるね。確実に殺されるね。


アスカにいたずらをするまでは死ねない僕としては、そんないたずらをする前に殺されるであろうことはしたくない。
したくはないんだけど、他にいい案が浮かばないというかなんというか…うーん………あっ、そうか!寝起きだ!寝起きだよ!寝起きのあのボーっとしたアスカにトリックオアトリートすればきっと大丈夫だよ!いたずらし放題だよ!アスカのマシュマロをもみもみし放題だよ!やったー!

…でも、朝はいつも忙しいからそんなことしてたら遅刻しちゃ……あぁっ!



「そ、そうだよ!朝がダメなら今行けばいいんだよ!」

思わず大声で思ったことを口に出しちゃったけど…い、今のでアスカ起きてないよね?大丈夫だよね?ね?ね?
そう焦りながらも部屋にある時計を見る。よし、もうハロウィンだ!お触り…いたずら解禁だ!



それからの僕は速かった。
スパン!と勢いよく襖を開けてズダダッと部屋から出てすぐアスカの部屋の扉をこれまたスパン!と開けてそのまま部屋に入ってベッドでぐっすり眠ってるアスカに僕は…僕はっ…!



「ア、アスカ!トリックオアトリート!お菓子くれなきゃいたずらするよ!」

もうね、全力のトリックオアトリートだよ。こんな真夜中に全力のトリックオアトリートだよ。…今日、ミサトさんいなくてよかったなぁ…
そんな僕の全力のトリックオアトリートが届いたのか、すやすやと気持ちよさそうに眠っていたアスカの目が徐々に開いていく。そして、ベッドの脇にいる僕を見上げながら「…しんじ…?」ってちっちゃい子みたいに僕のことを呼んで…


そ、そんな潤んだ目で見つめられたら、あぁ…そういえば仮装するの忘れてた…平常心のタンクトップを着た幽霊ってことにしておけばいいかなぁ…なんてなんとなく考えてた僕の初号機がウォォォンしちゃうよ…



「…もう、朝…?」

「う、ううん…まだ夜だけど…」

「……おやす「ち、ちょっと待った!」」

「…何…?」

「あ、あの…今日はハロウィンで、だからトリックオアトリートで…その、いたずら…」

日付が変わってハロウィンになったからアスカにトリックオアトリートしにきたんだよって言えばいいのに、カーテンの隙間からもれた月の光に照らされているアスカを見て言いたいことが言えなくなってしまう僕。そんな僕を眠そうにしながらもジッと見つめるアスカ。
寝起きのアスカって何でこんなにかわいいんだろう…?そんな無防備でかわいいアスカを見てると僕の股間の熱いパトスが今にもほとばしりそうで…その…どうしよう…


そんなことをムラムラと思ってたらアスカが「…お菓子、持ってる…?」って相変わらず眠そうな顔で聞いてきた。何でそんなことを聞くのかよくわからなかったけどお菓子なんか持ってないから素直にそのことを言うと「そう…じゃあ、シンジにいたずらしないと…」って僕の手を掴んでゆっくりとベッドに…




おめでとう

おめでとう

おめでとう

おめでとう

おめでとう

おめでとう

めでたいな

おめでとさん

クエックエッ

おめでとう

おめでとう

おめでとう

おめでとう

おめでとう

おめでとう




ありがとう




ハロウィンに、ありがとう

童貞に、さようなら

そして、アスカとできる僕に





おめでとう





「…今から、シンジはあたしの抱き枕ね…」

「…えっ?」

「…んじゃ、おやすみ…」

「えっ…ちょっ…ア、アスカ!?」

ベッドに引き込まれた瞬間、みんなが拍手をしながら僕におめでとうって言ってくれてついに僕も大人に…!ってにやにやしてる僕を現実に戻したのはアスカだった。
えっ…抱き枕?抱き枕って何?もしかして、それがいたずら?そんな…ベッドの上でするいたずらといえばあれしかないのに…なのに、僕を抱き枕にするなんて…


…だけど、これはこれでいいかもしれない。だって、アスカの腕や足が僕の体や足に絡みついて…その…む、胸が僕の体にむにゅって…むにゅむにゅって…
あぁ…僕のエントリープラグが大変なことに…



結局アスカにいたずらをすることはできなかったけど、アスカの抱き枕になって朝までひたすら我慢するという悪質ないたずらを受けることができたから…まぁ、いいかな。
でも、来年のハロウィンには僕にいたずらさせてね、アスカ。







……やっぱり来年じゃなくて今いたずらしちゃダメかな…はぁ…



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