すき、だいすき3

※R18




コナーと思いを通じ合わせ、挿入こそなかったものの、身体的接触をする仲になったわけだけど、あの接触以降、彼とキスどころか言葉を交わすこともままならない。
というのも、サイバーライフ社に預け、欠損していた腕を取り付けてもらったナインを迎えに行ったその日から、彼が私から片時も離れず、コナーが近寄ろうとすると盛大に威嚇するようになってしまったのである。

サイバーライフ社から署まで移動したナインが、丁度署に滞在していたコナーを見つけた途端、目にもとまらぬ早さで彼に近付き、あまりの早さに目を丸くするコナーの腕を強引に掴んだと思うと、怒りや憎悪を混ぜたような表情で彼に殴りかかったのだ。
いきなりのことで周りも、もちろん私もナインを止めることができなかったのだけど、コナーはその拳を寸でのところでかわし、なおも殴りかかろうとしていたナインに「僕は何も悪いことはしていない。正直に行動しただけだ」「君も正直になればいい。彼女なら受け入れてくれる」と、冷ややかに言い放ち、怒りの表情そのままに固まるナインに背を向け、その場を後にした。
コナーの腕を掴んだナインの手が素体になっていたから、もしかしたらコナーのメモリから自分にとって好ましくないものを見てしまったのかもしれない。だが、それにしても殴りかかるのはやりすぎだ。
今にも噛みつきそうなほど獰猛な顔をしているナインに、何があったのか知らないけれど、暴力はよくないと注意しようとするも腕を掴まれ、首に噛みつかれたため、驚きと痛みで注意できず。そしてそれ以降、トイレや入浴以外は私の腕や服の裾を掴み、離さなくなってしまったのだ。




もう1ヶ月近くコナーと話をしていない。
あの身体的接触で改めて彼のことを好きだと、愛していると自覚した身としては、日々膨らんでいく彼への好意をどうにか伝えたいのだが、私がコナーにそのような思いを抱いていること、彼と相思相愛だということを知らないナインの前であれやこれをするのは気が引ける。
コナーのほうも思うところがあるのか、今までならナインがいようとかまわず頭を撫でてもらいに来たり、今日の出来事を話しに来たりしていたのだが、遠くで困ったように笑うだけでこちらに近付くことすらない。
まぁ、近付こうにも私に張り付くように寄り添い、番犬のごとく威嚇するナインが常にいるため、無理なのだろうが。


もやもやとしたものを抱えつつ家のドアを開けると、早く中へ入れとでも言うようにナインが後ろから私を抱え上げ、ズンズンと我が物顔で入っていく。
最初はそんな彼の、らしくない行動に驚きもしたものの、もう1ヶ月も同じことを繰り返されれば嫌でも慣れる。
というわけで、されるがままでいる私をベッドへ下ろし、ムスッとした表情のまま覆いかぶさってくる彼に、この後行われることを思い、了承の意味を込めて頬を撫でる。すると、待ってましたと言わんばかりに私の頬をぺろりと舐め始める。

なぜかわからないが、コナーに殴りかかったあの日から、家に帰るとナインは私の頬や首を舐めるようになった。
もちろん、やめるように注意したし、それでもやめないので必死に抵抗したりもしたのだが、それをものともせず舐め続ける彼に疲れ果て、もうどうにでもしてくれと好きにさせた結果、こんなことになってしまった。
ナインが何を思ってそういう行動に出ているのかまるでわからないが、私を舐めている時やその後の表情が穏やかで、一歩外へ出ると警戒するようにムスッとした顔に変わる彼を思うと、舐めることでその緊張が解けるのならそれでいい気がする。
そう思ってしまうくらいには、彼のことを気に入っているのである。


頬や首を時間をかけて舐めるナインは、飼い主のことが好きで好きで仕方がない大型犬のようだ。
ねっとりと這わされる舌の動きは、犬のそれではなく性行為を思わせるが、ただ執拗に舐めるだけなので微笑ましい。
大型犬を飼っている人も、このような微笑ましい気持ちになるのだろうかと、首を舐めながらも時折甘噛みしてくるナインの頭を撫でると、顔をあげた彼が私の唇の端をその肉厚な舌でべろりと舐める。
ナイン似の大型犬にぺろぺろと懐かれている自分を想像し、大きな庭付きのおうちに引っ越そうか……。そこで、毎日一緒にいろんなことをして……ずっと一緒だよ、ナインわんちゃん……。と、ぼんやりと零すと、それを聞いたナインのLEDリングがなぜかぐるぐると真っ赤に染まり、まるまると大きく目を見開いて驚きの表情を浮かべていた彼が、次の瞬間には目を優しく細め、穏やかに微笑みながら服の中に手を入れてきた。
脇腹をゆっくりと撫で上げながら服をたくし上げる彼に、はじめはくすぐったいと笑っていた私だけど、まるで愛しいものでも見るような目をこちらに向けた後、服の中に頭を突っ込んで腹を舐めだしたため笑えなくなってしまった。
えっ、何?何で腹?この1ヶ月、頬と首以外舐めたことないのに、何でそんなところを……?

さすがに腹はなしだと彼を押し返すも、ビクともせず。まぁ、力で勝つことなんてできるはずがないと納得しているあいだにも腹を舐め、やめるように言う私の声など聞こえないとでも言うように徐々に頭を上に移動させ、強引に服とブラジャーをたくし上げるナイン。
まさかそんなことをするとは思っていなかったため声も出ず、呆然とその様子を見ているだけの私をちらりと見た彼は、そのまま何事もなかったように今しがた晒らされたばかりの乳房をひと舐めした後、まるで見せつけるかのようにゆっくりと乳首を口に含んだ。
その刺激に体をビクリと震わせると、その震えが彼のお気に召したのか、口に含んだまま舌を動かし始め、やっとのことで正気に戻りジタバタと暴れ出す私の手足を自身の手や体で拘束しつつ、強弱をつけて吸い舐める。

正直言って、気持ちいい。どこでそんなテクニックを?と思うくらい、上手いのだ。それはもう、このまま果てるまで続けてほしいと思うくらいには。
だけど、それは許されない。だって私にはコナーがいる。いくらコナーと同じくらい好意を持っているとはいえ、この行いをとめず続けさせるのは彼に対しての裏切りだ。
……いや、ちょっと待ってほしい。コナーと同じくらい好きなら、それはもうナインのことも愛しているということになるのでは?コナーにもナインと同じくらい好きと話したし、裏切りにはならないのでは?


ナインから与えられる刺激によりぼんやりしてきた頭が、どうにかこの行為を続けてもらおうと都合のいいことばかり思い浮かべるようになり、口からは制止ではなく嬌声があがり始めた頃、ふと顔をあげた彼がこちらをジッと見つめてきた。
舌による刺激がなくなり、物足りず彼の名を呼ぶ私を見るその目はとろりと蕩けているように思えるが、これもぼんやりとした頭が都合よくそう変換しているのかもしれない。
刺激がほしくて腰を揺らす私の意図を汲むように、再び乳房を口に含んだナインは、歓喜の嬌声をあげる私の、もうすでに立ちあがりきっているであろう乳首を甘噛みする。そして、ビクビクと体を震わせて快楽に溺れている私の衣服を器用に剥がしていく。
みるみるうちに肌が露わになり、気付けば両膝の裏を手で掴まれて足を限界まで開かれ、恥ずかしいと思う間もなく彼の舌が秘部を這う。
……いや、これはダメでしょうさすがに。

身をよじり抵抗する私の、その抵抗も何のそのと執拗に舐め続けるナインに、こんなことをしてはダメだ。こういうことは好きな相手とするものだ。と、喘ぐ合間に言い聞かせる。すると、やっと秘部から顔をあげた彼が「……それは、RK800のことか」と険しい表情で問いただす。
えっ、ナインもコナーのことが好きなの……?
ぼんやりした頭では彼が何を言いたいのかわからず、自分と同じようにコナーが好きなのかとぽろりと零すと、途端にジトッと半眼になったナインが深いため息をつき、再び秘部に顔を埋める。
先ほどより激しく動く舌と、どうしようもないほど敏感な突起に意図的に擦り付けられる鼻により、いともたやすく高められた体は、無意識にナインを求めていやらしく動いてしまう。
口では嫌々と拒否するも、ついに舌を挿入し、抜き差しし始めた彼の顔に秘部を押し付け、もっともっととねだってしまうこの体が憎い。これではコナーに顔向けができないではないか。
……だけど、気持ちいい。もっとしてほしい。私が果てるまで、舌で刺激して。奥まで、きて。


言葉にならない声をあげ続け、ナインを求めてしまう私に気をよくしたのか、突起を数回ねっとりと舐めつけた後、物欲しげにひくついているであろうそこに指をあてがい、舌なめずりする彼がどうしようもなくセクシーで、それだけできゅうっと反応してしまう下腹部が嫌だ。
私にはコナーがいるのに。いくら気持ちがいいからとはいえ、進んで事に及ぼうとするなんて。最低だ。快楽に弱すぎるにもほどがある。これでもし潜入捜査等で敵に捕らえられた時に、エッチな尋問をされたらどうする?一発で口を割ってしまうのでは?
余計なことを考えているのを察したのか、今までセクシーだった彼の顔が険しくなり「俺を見ろ」という言葉と共に、その無骨な指が入ってくる。
ずぶずぶと奥に埋め込まれていく指を歓迎するように締め付ける秘部。とろりと満足げに笑うナインにサドの気配を察知し、彼の指をきつく締め付けては自身もその締め付けによって感じてしまう。
もう嫌だ。やめて。これ以上、私の心を、体をかき乱さないで。

きゅうきゅうとナインの指をきつく締め付け、体を震わせて果てる私に「ずっと、側にいる」と微笑んだ彼が何を思ってそう言ったのか、快楽でぼんやりした頭ではその答えを出すことができない。





いや、快楽に支配されていない通常の頭でも、ナインの考えていること及び行動に答えを出すことができない。
だから、翌日になりあられもない姿を見せてしまったと、気まずい思いをしている私にべったりとくっつき、頬を舐めた後に穏やかに笑う彼のことも、移動時は相変わらず私の腕や服の裾を掴んでいるが、それ以外はその大きな体を密着させるように寄り添ってくる彼のことも、ポンコツ刑事の番犬などとからかう人物に威嚇ではなくドヤ顔で対応する彼のことも、時折「側にいる」と耳元で囁く彼のことも、外ではムッとしていたのに今では終始穏やかに口角をあげている彼のことも、私の一般的な頭では答えを導き出すことができない。
職務遂行中も、もちろん職務外も常に混乱状態な私に救いの手が差し伸べられたのは、それから3日後の、ハンク&コナーのバディが今まで調査していた事件を無事解決し、署に帰還した日だった。


「RK800、手を」

「あぁ」

いつもなら威嚇ばかりで声をかけることなどないに等しいナインのほうからコナーに話しかけるという、なんとも珍しいことが目の前で繰り広げられ、ぽかんとしている私をよそに彼等は素体化した手で握手をする。
そして「変異体にならない設計、造りのRK900も、ついに変異したか」「変異などしていない」「彼女にずっと一緒にいたいと言われたのが嬉しくて、それで本格的に変異したのに?」「違う」「強情だなぁ」と、ほのぼのとした会話を繰り広げた後、置いてきぼりな私に「というわけなので今夜、僕達に付き合っていただけますか?」と言うコナーの口元はにこやかだが、目は笑っていなかった。
えっ、何?怖い。

「……RK900の指と舌、そんなに気持ちよかったですか?」

あっ、バレてる。終わった。




私的に死刑宣告にも似た言葉を耳元で囁かれてからというもの、適度に大きな事件が起きてそれどころではなくなることを望んでいたわけだけど、そう都合よく事件など起きるはずもなく、LEDリングをぐるぐるといつもより鮮やかに輝かせているナインに腕を引っ張られ、そのまま帰宅。
不動だった彼のLEDリングの変化に変異を実感している暇もなく、なぜか「おかえりなさい」と当然のように家に入り込んでいたコナーに両頬を固定され、そのままがぶりとキスされる。
1カ月ぶりだからか、それともナインに舐めつくされたことによる嫉妬や怒りからくるものなのか、はじめから激しく攻め立てるそのキスに、早々にふにゃふにゃと腰が砕けそうになる私を後ろから支えるナインは、首元に顔を埋めて舌をねっとりと這わせたり、そこに自身の印をつけようとするかのように甘噛みを繰り返す。
いくら何でも刺激が強すぎる。そうは思うものの、コナーが唇を離してくれないため、抗議の声をあげることができず。それならば実力行使だと抵抗を試みるも、後ろにいるナインの腕が弛むことはなく、玄関前でただひたすら貪られる。
もう自力で立っていることができず、完全にナインに抱えられている状態の私の唇を一際強く吸い「今日は僕の番ですからね」と、若干ムスッとした表情でこめかみを黄色くしているコナーに、やはり昨日の出来事に嫉妬を覚えているのだと思ったのも束の間、抱える腕の力を強めながら「明日は俺の番だ」と耳を食むナインに、一気に混乱状態に陥る。
コナーが僕の番だと言うのは、恋人同士であるわけだしまぁわかる。しかし、ナインは違う。好ましく思っているが、別に恋人ではない。なのに、なぜコナーと同じように体を求めてくるのだろうか。


「……RK900。君、まだ自分の気持ちを伝えていなかったのか……?」

ナインによってふにゃふにゃとベッドに寝かされ、うまいこと衣服を剥がされながらもコナーに今日は僕の番と言っていたが、今日どころか明日も明後日もコナーの番では?そして、恋人ではないナインの番は、明日どころかずっとこないのでは……?と、ふにゃにゃと話すと、承諾もなしに私の足をM字に開いて、秘部を舐めようとしていたナインが、LEDリングを真っ赤にして固まり「今日は僕の番だと言っただろう!」とぷんすかしていたコナーも、目を見開いて私を見た後、信じられないとでも言うようにナインをちらりと見た。
コナーに自分の気持ち云々と言われたナインはというと、こめかみを赤く染めたまま「伝えた」と、珍しく焦ったような表情で否定し「ずっと側にいると、確かに伝えた」と言葉を続ける。

「いや、ちゃんと好きだと、愛していると伝えないと……。それだとわからないよ」

「!」

「ほら、RK900。君の気持ちを伝えないと、彼女と愛し合えるのは僕だけになってしまうよ」

「!?」

「まぁ、僕としてはそのほうが独占できるからいいけれど」

呆れた顔をしたコナーと話すナインのこめかみがどんどん赤黒く、そして力強く光り輝き、M字のまま開脚させられていた私にそのまま覆いかぶさり「好きだ」「愛している」「ずっと側にいる」「この身が朽ち果てるその時まで」「側にいさせてほしい」と、懇願するように畳みかけてくる。
ナインの“ずっと側にいる”が“好き”や“愛している”と同等の言葉だということはわかった。しかし、その好意を受け入れるとなると、必然的にコナーに別れを告げなくてはならない。
ナインのことはコナー同様かわいいと思っているし、かっこよくも思っている。もしコナーと相思相愛になっていなければ、喜んで受け入れていただろう。だけど、もうコナーの想いに応えてしまった。だから、ナインの想いに応えることはできない。
断腸の思いで、その想いに応えることはできないと伝えようと、口を開いたその時「RK900ならいいですよ?」と、軽く答えられてそのままぽかんと固まってしまった。
えっ、いいの……?

「ほら、このあいだも言ったでしょう?“唇にキスをしてくれるのなら、もう文句は言いません”って」

ぽかんとしたままの私に、さらにぽかんとさせるようなことを言うコナーは、ムムッと微かに困ったように覆いかぶさったままのナインを肩を使い横に押し出し「だから、RK900ともいいですよ。僕以下でも、以上でもなく、同等に愛してくれるのなら」と、にっこりと頬に吸い付く。
むちゅむちゅと、頬や唇に吸い付き続けるコナーの言うことが本気でわからず、されるがままの私に、たくさんキスができて満足したであろう彼が「つまり、僕がこのあいだねだった“あなたからのキス”で、RK900のことも愛しているあなたでもいいと絆されてしまったということです」と晴れ晴れした顔で言い、嫉妬深いと思っていた彼がそんなにも懐が深いことを言うなんて……。と感動していた私の耳元で「まぁ、だからといってRK900に先を越されるのは嫌ですが」と、嫉妬をむき出しにされて混乱する。
つまり、コナーとナインを同じくらい愛すのはいいけれど、コナーよりナインを優先するのはダメということ?それとも、キスをするにしてもそれ以上のことをするにしても、コナーが最初ではないとダメということ?
それは“コナーとナインを同等に愛する”ということに反しているのでは……?

「そういうわけだから、今回は僕が挿入するよ」

「……」

「不満そうな顔をしているけれど君、まだアタッチメントを装着していないだろう?」

「……」

「とにかく、挿入は僕が最初にするから」

「……」

「そんな、今にも噛みつきそうな顔をしても譲らないよ」

「……」

「……その代わり、彼女の女性器を君の気のすむまで舐めつくしていいよ。好きだろう?彼女に舌を這わせるの」

「!」

私の上でぐいぐいと肩をぶつけ合い、これからのことを話しているコナーとナインの、その会話内容にいろいろと思うことはあるが、今まで不満そうに口を歪めていたナインが、微かにだが嬉しそうに口角をあげたため、無事平和的解決に至ったことがわかり、差異はあるが笑いあっているふたりに水を差したくはないので、黙ってふたりを見守ることにした。
その内容に私の意思はかけらもないが、今まで一方的にだけど殺伐としていたふたりが仲良くしていて、とても感慨深いので。





もうとろとろにふやけてしまったのでは?と思うほど長いあいだ秘部に顔を埋め、舌を這わせたり差し込んでいたナインが「もういいだろう?」と、私の顔中にキスの雨を降らせていたコナーによって、渋々とだが離れる。
いそいそと、入れ違いで私の足のあいだに収まるコナーを尻目に、心なしかしょんぼりしているナインを傍らに呼び手を伸ばすと、身を屈ませ頬を寄せてくる。その微笑ましい行動に目を細めると、どうした?とでも言うように目をほんのりと丸くするため、愛しさが募る。なんてかわいいのだろう。
控えめに擦り寄せられる頬を撫で、ナインは舐めるのが好きなの?と聞くと、頬を擦り寄せたまま深く頷く。もっと舐めたかった?という問いにも深く頷き、頬を撫でる手をぺろりと舐める彼が愛おしくて仕方がなくなる。口数が少ない分、行動で表すところが本当にかわいい。
頬をくすぐっていた指で、今度は耳をくすぐり、さっき言えなかった言葉を彼に贈る。ナイン、好きだよ。ずっと一緒にいたいくらい、好き。愛してる。
すると、今まで穏やかだったLEDリングをパッと赤くさせ、目を見開くナイン。それを見て今言うべきではなかったかと焦り、あわあわと耳から手を離す私のその手をとり、甲に唇を落とす彼はさながら中世の騎士のようで鼓動が高まる。
えっ、何?私のバディ、かっこよすぎでは?


「……もう、いいですか?」

ナインの行動に内心身もだえていた私に、切羽詰まったような声色で問いかけてくるコナーの表情は、声色と同じく切羽詰まっていて、本当ならナインと交代してすぐ挿入したかっただろうに、彼とのやり取りを邪魔せず我慢してくれたのだろう。
興奮したようにはっはっと短く息を吐くような動作をするコナーの、男性器を模したアタッチメントはもう、これ以上ないというほど上を向いている。先端からはとろみのある液体が溢れ出していて、限界であることを物語っている。
コナー、と名を呼ぶと同時に先端を入り口にぴたりと寄せた彼は、私の名を何度も呼びながら腰を動かし、もどかしそうに擦り付けては声なき懇願をする。そんな彼に、膣内を好きにする許可を与えると、一際大きな声で私の名を呼んだ彼の、太さも長さも硬さもスペシャルなよくばりアタッチメントが勢いよく中に入ってきた。
奥を目指して腰を進めるコナーに私を気遣う余裕はなく「あぁっ……!あっ、ぁ……!」と、挿入されている私よりも大きな声をあげて感じ入っている。初めての感覚に溺れる彼に興奮を覚えながらも、ナインにふやふやになるまで秘部を舐めてもらった状態でよかったと安堵している自分がいる。
もしナインが舌で解してくれていなかったら、今頃痛みに顔を歪ませていただろう。本当によかった。ありがとう、ナイン。あそこをふやふやにしてくれて。

「あっ、あぅ……あっ……あっ……あぁっ……!」

言葉を話す余裕もなく、ただ喘ぐばかりのコナーのアタッチメントが最奥に到着し、その衝撃できゅうきゅうと締め付けてしまい、甲高い声をあげていた彼の腰がビクビクと震えたと思えば、中が何かでとろりと満たされていく。
これは、射精……?でも、アンドロイドに精液はないはずだし……。と、膣内に感じる液体に戸惑っていると「すみません……僕だけ、気持ちよくなってしまって……」と、とろんとした表情で唇に吸い付き、そのまま舌を絡めだすコナー。
すぐキスに夢中になる彼に戸惑い、いまだに挿入されたままのアタッチメントに戸惑い、グッグッと腰を押し付けるその動作に戸惑い、膣から溢れ出し尻を伝う液体に戸惑い、どさくさに紛れて私の手を舐めしゃぶるナインにも戸惑い……。
戸惑うことばかりで何だかよくわからなくなってきたが、口内も手も膣も気持ちがいいので、よくわからないままでもいいような気がしてきた。
大好きなコナーと愛し合っている。これがすべてだろう。

「はっ、あっ……今度こそ、あなたを、気持ちよくします、からっ……ぁ……あっ……」

キスと腰の微かな律動で再び元気になったアタッチメントを、膣内に擦り付けるように動き出したコナーが、こめかみをひたすら真っ赤に染めながら腰を振っている。
職場では沈着冷静な彼も、セックスになるとこうしていやらしい声をあげ、快楽を貪る。このギャップがたまらないし、もっと乱れてほしいとも思う。
こちらも負けじと腰を動かし、彼のアタッチメントを締め付け、この行為の気持ちよさを喘ぎ声と共に彼に伝える。すると「僕も、気持ち、いいっ……あなたの膣内、きゅうって、絡みついてっ……あっ、やっ!もう、ダメ、きゅうきゅうっ、ダメ……」と、首を振ってこの強すぎる快楽をどうにかしようとしていて、もう本当にたまらない。どうにかなりそうだ。

「あぁっ、あっ……好きっ、大好き、ですっ!僕もずっと、側にっ、あっ……あっ……あぁっ……!」

グリッと奥に擦り付けられたアタッチメントできゅうっと達する私の後を追うように達したコナーは、とぷとぷと膣内に擬似的な精液のようなものを出し続けている。射精時も気持ちがいいのか、ずっとあんあんと喘いでいて腰も小刻みに動いている。かわいい。
そして粗方出し終えたのか腰を動かすことをやめ、へにゃんとふやけた顔を私に寄せると「愛しています、ずっと」と頬を食むようなキスを落とした。
「俺も、愛している」と、反対の頬を舐めるようにキスするナイン。

次の休日は、みんなで家を探しに行こう。3人一緒に暮らす家を探しに行こう。
ずっと、ずっとずっと一緒にいよう。これから先、何があったとしても。


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