あたしの拳をアゴに受けて一発KOなシンジを保健室に運ぼうと間抜け面で伸びてるシンジの腕を引っ張るあたしだけど、ここで問題発生!シンジが重い!
あたしより小さいしひょろひょろしてるから昔みたいに簡単におんぶできると思ってたのに…何で?


結局、相田と鈴原に運ばせたけど…何か納得いかない。力ならそこら辺の男子よりもあるはずなのに、何でシンジのことおんぶできなかったんだろう…?
昔はしょっちゅうシンジのことおんぶしてたのに…





「…つーか、いつになったら起きんのよ…」

シンジが起きたらすぐに説教してやろうと思ってたから保健の先生に教室に戻れって言われても戻らなかったし、昼休みも保健室ですごしたし、もう放課後なのに家にも帰らないでいてやってるってのに…シンジのやつ、まだ起きない。
保健の先生いわく疲労と寝不足のせいらしいけど、それでも放課後まで寝てるとかいくら何でも寝過ぎよ…


ま、家に帰ってもすることないから別にいいけど。
…でも、もう夕方なのよね。これ以上寝かせといたら夜まで寝てそうだし…やっぱり、そろそろ起こしたほうがいいのかしら?

うーん…



「……ア、スカ…ちゃん…?」

「何よ、うるさいわねぇ…今シンジのこと起こそうかどうか考えてんだから静かにしてよね!」

「う、うん…ごめん…でも、ここは一体…」

「はぁ?あんたバカぁ?ここは保健室に決まってんでしょ。あんたがいつまでもぶっ倒れたままだったから仕方なく相田と鈴原に……って、シンジ?!あ、あんたいつの間に…!」

「?」

シンジがきょとんとした顔であたしを見上げる。そんなシンジを見たら何かもうどうでもよくなっちゃったっつーかなんつーか…とりあえず、このあたしを悩ませたことについては不問に付すわ。ありがたいと思いなさいよ。
だけど、さっきのあの教室でのことは別!ふふっ、覚悟しなさいシンジ!たっぷり説教してやるんだから!


あっ、あとあのひとりじゃ絶対食べきれない特大パフェもおごらせてやろうかな?うん、それいい!そうしよう!今度の土曜日はシンジと特大パフェを食べに行こう!
それで、そのあとはデパートで洋服を見て…それからアクセサリーも見たいわね。あと靴も!

んふふっ、早く土曜日にならないかな!



「ねぇ、シンジ。今度の土曜「…あっ」」

「ん?どうし「ア、アスカ…僕にもう話しかけないで…ほっといてよ…」」

「…えっ?」

「…もう僕に関わらないで…」

「ち、ちょっ…シンジ?あんた何言って…って、ちょっと!何してんのよ!ねぇってば!」

「……」

なぜか知らないけど、あたしを拒絶するように背を向けてベッドに潜り込むシンジ。
は、はぁ?!人がせっかく遊びに行こうって誘おうとしてんのにあんた何様!?つーか、さっきまであたしの顔見てにこにこ笑ってたじゃない!なのに、何でいきなりそんなこと言うのよ!何であたしに背中を向けるのよ!何であたしを見ようとしないのよ!

シンジのくせに…シンジのくせに生意気なのよっ!



「…こっち向きなさいよ…」

「……」

「…こっち向きなさいってば…」

「……」

「…こっち向けって…あたしのこと見ろって言ってんでしょっ!」

「…っ…」

掛け布団を強引に剥ぐ。そして、まだあたしに背を向けてるシンジの肩に手をかけて仰向けにしたあと、シンジが動けないように素早くシンジの上に馬乗りになる。両手でシンジの顔を固定してあたし以外何も見えなくする。
これで大丈夫…シンジはあたしを見る。シンジはあたしを拒絶しない。シンジは…シンジは…


……甘え癖を直すためとはいえ、自分からシンジのこと突き放したくせに何やってんだろ、あたし……



「…ごめん、あたしが「…何で…?」」

「えっ…?」

「アスカちゃん…僕のこと、嫌いになったんじゃないの…?嫌いだから…僕のこと、殴ったんじゃ…ない、の…?嫌い、だから…無視っ、したんじゃっ……うっ…うぇ…っく…」

「……はぁ…あたしがいつあんたのこと嫌いって言った?言ってな「じ、じゃあ…アスカちゃん、僕のこと好き?」」

「えっ…そ、それは…その…別に嫌いじゃ「やっぱり!やっぱり嫌いなんだ!アスカちゃんは僕のことが嫌いなんだ!うわぁぁぁん!!」」

いろんな意味で勘違いして泣きわめくシンジを見て脱力すると同時に安堵する。
バカねぇ…あたしがシンジのこと嫌いなわけないじゃない。もし仮にあたしがあんたのこと嫌いだったら今みたいに甘えん坊なあんたの将来を案じるなんてことは絶対ないし、こうやってあんたが起きるまで待ってることもないし、それに何より嫌いだったら目すら合わせないわよ。


つーか、甘え癖を直すためってちゃんと言ったのにこいつ覚えてないの?それともあたしの話聞いてなかったの?もう…どっちなのよ、まったく。
ま、どっちにしろこれでシンジを無理に引き離しても甘え癖は直らないってはっきりわかったわ。あたしがついてないと精神的にも肉体的にもよくないってこともね。

それに、あたしも……って、あたしは別にシンジなんか…!
…そ、そんなことより早いとこシンジを泣きやませないとね。うるさいし。



「はぁ…好きよ。好き好き。シンジのことだーいすき。これで「そんなの嘘だ!だって、感情がこもってないもん!」」

「…じゃあ、どうすればいいのよ?」

「もっと感情をこめてよ!僕のこと好きって、愛してるって、感情をこめて言ってよ!耳元で優しく!囁くように!」

「ったく、仕方ないわねぇ……シンジ、好きよ…愛して「僕もっ!」」

「ひゃっ!」

シンジのお望み通り耳元に唇を寄せて、これまたシンジのお望み通り好き好き大好き愛してるって感情をこめて囁いた途端、今までわんわん泣いてたシンジの腕がにゅっと伸びてあたしをガッチリホールド!
もちろん「何すんのよ!」ってもがいて逃げ出そうとしたんだけど、どこにそんな力があるのってくらいガッチリとホールドされてて…結局力尽きて今はシンジの上に力なく乗っかってる。


シンジは「僕もね、アスカちゃんのことが好きだよ!ちっちゃいころから大好きだったんだよ!愛してるんだよ!」とか「だから、僕が18歳になったら結婚しようね!ずっと一緒にいようね!」ってあたしの頬に涙で濡れた頬を擦り付けながら言ってるけど…もうどうでもいいわ…あたし疲れた…

もう好きにして…




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