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何の予定も入ってない休日は、早く起きても特にすることがないからだいたいお昼まで寝てる。
だけど、必ずお昼前に1回は起きるハメになるのよね。まぁ、二度寝すればいい話なんだけど…でもねぇ…
…で、その元凶が今日もあたしの枕元にいるみたい。はぁ…
「……シンジ」
「あっ、おはようアスカちゃん」
「ん、おはようシンジ……じゃなくて、あんたさ…毎週あたしの寝顔見にくるけど…飽きない?」
「えっ、何で?全然飽きないよ?」
「…そう…」
そう、その元凶ってのはシンジのことなの。
あたしもシンジもお互いの家のカードキーを持ってるからいつでも入れるんだけど、それを使ってあたしの部屋までやってきて寝てるあたしの枕元で頬杖をつくのよ。それで、あたしの寝顔をじっくり眺めてあたしが起きるのをじっと待ってるの。
小学校を卒業するまでは毎日どっちかの家に泊まって一緒のベッドで寝てたからあたしの寝顔を毎日見てたらしいんだけど、中学に入ってからは年頃の男女だからってことで一緒に寝ることはなくなったのよね。
それで週に2回、こうやって朝早くあたしの部屋にやってきてはあたしの寝顔を見るようになったんだけど…シンジの視線がね、何かこうギラギラしてるっつーか…とにかく何かきついのよ。
きっと、毎日見ることができなくなったから見溜めでもしてるんだろうけど…正直、ちょっと怖い。
だって、あたしの知ってるシンジじゃないみたいなんだもん…
「…あたし、二度寝するから」
「うん、おやすみアスカちゃん」
「ん、おやすみシンジ……ってちがーう!」
あたしがガバッと勢いよく体を起こすと、相変わらず枕元で頬杖をついてるシンジが何が違うの?って顔であたしを見上げてきた。
…こいつ、本当に男?そこらへんの女よりも女っぽい仕草っつーかなんつーか…マナがシンジのことかわいいって言うのも頷けるわね。
ま、あたしのほうがその倍はかわいいけど!
って、違う違う!そんなことはどうでもいいのよ!あたしが言いたいことは…
「あたしが二度寝するって言ってんだからさっさと出て行きなさいよ!」
「えっ、何で?」
「何でって…そ、そんなのどうでもいいでしょ!とにかく「ど、どうでもよくないよ!だって、僕まだアスカちゃんのこと見足りないし…」」
「み、見足りないってあんた…」
週に2回も見てるのに見足りないも何もないでしょ!って怒鳴ってやろうと思ったんだけど、シンジがあまりも物足りなそうな顔をしてたからやめたわ。
何でやめたのかって…特に理由はないわよ。ただシンジの情けない顔を見てたら別にもう少し見せてやってもいいかなって…
それに、今ここでシンジを追い出したらドアの前でぐずぐず泣きそうだしね。そうなったら大変なのよねぇ…
「はぁ…もういい。勝手にすれば」
「うん、じゃあ勝手にさせてもらうね」
「はいはい……きゃっ!」
シンジに背を向けるようにして寝転んだ途端、後ろからごそごそと音がして…何かがベッドに入ってきた。その何かってのはもちろんシンジなわけで…
…確かに勝手にしろって言ったわ。あぁ、言ったわよ。だけどね…ベッドに潜り込んでいいなんてあたし一言も言ってないわよ!
つーか、何どさくさにまぎれて抱きついてんのよ!「ふわぁ…アスカちゃん柔らかい…」じゃないわよあんた!離しなさいよ!
これじゃ、二度寝できないじゃない…!
「ち、ちょっとシン「前から思ってたんだけど、アスカちゃんっていいにおいだよね…」」
「ひゃっ!」
「何でこんなにいいにおいがするんだろう…?」
「ちょっ…く、首に鼻くっつけないでよ!あ、あんたの鼻息っ…くすぐったい…!」
さっさと離れなさいよ!ってジタバタ暴れて抵抗してるんだけど、シンジが予想以上にがっちりくっついてるもんだからなかなかうまくいかない。それどころか、暴れたせいで余計強く抱きつかれちゃったような…
ああん、もう!何なのよこいつ!あたしがいいにおいだろうと何だろうとあんたには関係ないでしょ!だから、これ以上首もとで鼻をふすふすさせないで!本当にくすぐったいの!体がビクビクしちゃうの!
こ、これ以上ふすふすされたらあたし…あたし変になっちゃうっ!
「シ、シンジ…もうやめて…」
「ア、アスカちゃん…」
「お、お願いだから…やめ「ぼ、僕…もう我慢できないよっ!」」
「ひゃあっ!」
「うわっ!?」
「ぎゃっ!」
シンジに首をかぷっと噛まれてもうダメって思ったとき、運がいいのか悪いのかシンジもろともベッドから落ちた。まぁ、そのおかげでシンジから解放されたから運がよかったんだと思うけど…体が痛い…
シンジだけ落ちればよかったのに何であたしまで…
あっ、そうそう。シンジは往復ビンタ1発で許してあげたわ。ほんとは5発くらいしてやりたかったんだけど、「ごめん…ごめんね、アスカちゃん…もうしないから許して…お願い…」って泣きながら謝るから仕方なく、ね。
はぁ…今から二度寝、できるかしら…?
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