take3


※アテンション!
唐突に学パロ。





「君は何につけ器用にこなしてるタイプだと思ってたんだけどねえ」
「…他の教科は平均以上ですよ」


彼はなかなかに努力家だ。
本人はそれをひた隠しにしたがるけれど。

ただ僕が教える倫理ばかりは、どうにも苦手意識が根強いらしい。

受験に使うつもりはないと言うが、熱心に質問をしてくるので僕も応えてあげたくなって、この週2回の個人補習を提案してみたわけだ。


明示しておくけど、僕がこんなに「教える」ことに関して意欲的になるのはごく珍しい。(教師にあるまじきというのは一応自覚がある)



因みに何故受験に使わないのに熱心なのか尋ねたところ、「悔しいから」だとか。


ひょいと取り組んでいるプリントを覗き込むと、あまり進んでいない。

「そんなに倫理が嫌いかい?」
「嫌いですね」
「………」


嫌いなのに、そんなに、一生懸命なんだね。

ふと、彼がちろりと上目に僕を見た。



「たぶん、面白い教科なんだと、思うんスけど」

「授業中は退屈そうに見えないよね」

「なんか、ムカつくんス。頭良い奴らの考えを勉強するってのが」


感銘は受けてもそのことにまた腹が立つということか。
そういう捉え方もできる…のかな。


なるほどと思った刹那、彼が僅か唇を窄めて細く吐き出したささやかな吐息にドキリと胸が鳴った。




「でも、先生のことは好きですよ」




目を合わせないまま呟かれた言葉の意味を完全に飲み込む前に、ガタンと勢いよく彼が立ち上がったため驚いて肩が揺れた。


「母が迎えに来るので、今日は帰ります」
「え?あ、うん……お疲れ様」



その後の彼の行動は早かった。
気付いた時にはもう教室にいなかったくらいだ。
彼の出て行った扉をじっと眺めながら、徐々に加速する心臓に手を当てる。



「……参ったな」

君の前では紳士で居たかったのに。







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生徒攻めの方が好きなのですが、
王子みたいな高校生は嫌だと思ったので。

きます。
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