(サカヒラ)





得難いモノというのは案外世の中に溢れている。

疎通した意思、特異な性癖、死者の声。
お菓子の家、スタミナ、包容力。


所謂マイノリティーと呼ばれる人口だって、みんなが自分は正しいと思っている。
マイノリティーかどうかというのは問題になる可能性すら持ちえないどうでもいいことであって、というより、自分を正しいと思った結果がマイノリティーなのだからしょうがない。
これ以上もそれ以下もないわけだ。


かく言う俺も、色の変わったあぶらとり紙を睨んでいるあんたを可愛いと思う。


「どうかしたんスか?」と覗き込もうとすると、その瞬間あぶらとり紙はぐしゃりと手のひらに飲み込まれた。


「……見るなよ」
「…………」


どことなく決まりの悪そうな表情から何を言わんとしているかを察して身を引く、その交換条件に掠めるキスを頬に施した。


「俺ね、可愛いモノが好きなんですよ」


貪欲だ、あんたが思ってるよりずっと。

些か朱に染まりながら頬を拭わないあんたを知ってるのは俺だけでいい。




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