(タツバキ・エロ)
ただ不思議でならなかった。
ゆらりと意識がたゆたう。
「ま…、あう、待って、」
「ははっ」
断続的どころの騒ぎじゃない。
揺れてるのか揺らしてるのか揺らされてるのか、既に声は枯れている。
「ほんとに止めたら泣きそうな顔するクセに」
ぞくぞく駆け上がる震えで歯が鳴るかと思った。
「ほん、も、かんとく…っ」
図星を突かれることにすら感じている自分の体を軽蔑したかった。
この人になら何をされても言われても意地汚く収縮を繰り返すソコは、もはや違う生き物なんではないかと思った。
恐怖にも似た感情がぐちゃぐちゃとせめぎ合って意識を手放しそうになる手前、そのたびにキスで目が覚める。
(そんなお姫様が昔いたような)
訳の分からないことを鬱々と考え始めるのは余裕があるからではなくそれほどに余裕がないからだと知っていた。
「あぁ、あ…っ!いやだ、」
まるで新生児みたいに清潔なのか分からないシーツにすがりつくと、思いの外頼りなくて安心するわけでもなかった。
焦る、焦る、褪せる、
小さくならないと何かを失くしてしまうような気がして力任せに抱き寄せる。
ニヒーと悪く笑った顔と目が合った。
「かわいーね」
我慢を忘れそうになる、全部この人のせいだ。
うっとおしい耳鳴りの中から嘘を探そうと試みた。
他でもない、自己満足のために。