▼燦叉とラオが対峙するシーン

「燦叉…お前……!!」

きっ、とラオンが遥か屋根の上に立つ男と燦叉を睨みつける。が、その視線を彼らは無感動にただ受け止め、やがて燦叉が一呼吸置いて口を開いた。

「何を言っているの、羅遠。ボクは初めから《彼》の《僕》だよ」

そう言うと同時に口の前に掌を差し出し、そこにふぅっと息を吹き掛ける。すると青い火の玉――狐火が続々と生み出され、ラオン達目掛けて段々とその身を膨らませながら飛んできた。チッ、という舌打ちと同時にラオンも水の壁を作り出し、背後に控えるレン達を庇う。それは思った以上に高温だったらしく、狐火が水の壁にぶつかると、途端に辺りは水蒸気で真っ白になってしまった。すぐに周りを警戒するが、どうやら相手は退散したらしく、視界が晴れた時には既に彼らの影は無かった。

2012/02/28 04:34 (0)

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テーマ「人外ファンタジー」
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