▼明るさの話

「お前はまるで思念そのものの様だ」

俺がそう言うと目の前の金色は一瞬少しだけ目を丸くし、それから何処か納得した様に、嗚呼、そうかもね、と小さく呟いた。
奴はまるで移ろい行く情念の様に、ふとすれば何処かへと消えてしまいそうで、そう思えば信念の様にとても堅い強固さを持っていた。そして目に見えない思念は、その実態を本当の意味で確かめることは出来ない。
この目の前で笑う金色の輝きは本物なのだろうか。疑問形にする癖に、俺は自分が本物であればいいと思っていることに気付いている。しかし、敢えてそれは無視することにした。闇夜に目が慣れた今の俺には本物の光など眩し過ぎた。奴の表面に張った曇り硝子を通した位が丁度良い。
笑顔を浮かべる金色。この金色は今、何を思っているのだろうか。

2012/01/09 16:38 (0)

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