06

理事長室、その部屋の真ん中にある大机の奥、椅子に深く腰掛け、とある男が両手を汲んで含み笑いをしていた。部屋の中はカーテンで覆われて、その隙間から夕陽の紅色の日差しが差し込んでいる。

「生徒会と風紀委員は言わば問題児…『狂犬の集まり』だ。あのメンバーは、一つの事にかける能力は秀でているが、他は色々とダメな奴ばかりでな」

すると、両手を組んだ男の目の前で、背筋を延ばし、直立していたスーツ姿の男が、

「二年の機械工学の天才シュトロハイム、同じく二年のスージーQ、人の心に共感し、情報を聞き出す技術の天才、もっとも、彼女本人にその自覚は無いですが…そうして三年のアヴドゥル、占術の天才、彼の占いの的中率は恐ろしいものがありますね。一年の東方朋子、警察長官の娘で、様々な場所で顔が効き、狙われやすい身でありながら、自身の身を自身で守っている食えない生徒です。そうして承太郎…海洋学の天才…ですか」

一通り生徒会と風紀委員の人物の名前を答えれば、両手を組んだ男はさらに続ける。

「そこで、ジョセフ・ジョースターを投入する。アイツは言わば、『狂犬の飼い主』だ。あいつ自身も大きな天才であり、狂犬ではあるが、アイツは他の狂犬の目から見ると、とても眩しく見えるらしい、その魅力は私にはあまり理解は出来ないが、結局は狂犬を誑し込んで、その下に付けてしまっているのが現状だ。生徒達から一目置かれ、恐れられていたあの狂犬共も、今では親しみ安い学園のヒーローになった。この通り、『煌きの星を持つ』が周りからはそれを受け入れられない『屑』を拾い上げる本当の『星』がアイツだとすれば。アイツがいれば多方は上手く纏まる」

その言葉に、スーツ姿の男どこか嬉しそうに頷いた。

「そこがアイツの大きな魅力ですが」
「お前も、アイツも、大分ジョセフ・ジョースターに毒されて来てるんじゃないのか?まさかお前も、狂犬使いに誑し込まれた星屑の狂犬か?」
「ははっ、まさか、私は、飼い主の手を噛む性格ですので」

スーツ姿の男が笑って、そう答えれば、両手を組んでいた男は、真剣な顔で、スーツ姿の男に問いかけた。

「それは、私にも言える事か?」
「まさか」

その言葉に、スーツ姿の男は首を振った。そして真剣な顔で

「恋愛の『飼い主』と、上司的『飼い主』は全くの別物です、私は、アナタを裏切る気など毛頭ありません』

そう答えたスーツ姿の男に、両手を組んでいた男は、溜息をついて、それからまた、ニヤリと笑った。

『まぁ良い、いずれにせよ、彼らには『改革』を進んで行って貰わなければ』
『あの話の事ですか?』
『あぁ、何せ、我らは、この駆け引きに、必ず』

<勝たなくては、ならないのだから>

『なんにせよ、まずは学園の改装から始めなくてはなりませんが『カーズ様』』
『手筈は完璧だ、エシディシがすでに動いているぞ『ワムウ』この学園は…


新たに生まれ変わるのだ』

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