短編 | ナノ



フードのファーに顔をうずめて寒さを凌いで数十分か、肩を控えめに叩かれた。振り向いたら見覚えのある赤い髪が。そしてエメラルドがレンズ越しに光っていた。


「名前、で合ってる?」


レンズ……レンズ、だと?そう、何とやつは眼鏡しかも黒縁を装備していたのだ。なんだそのオシャレアイテムずっこいぞヒロト。そんなことを考えていたら眼鏡似合ってるねとしか言えなかった……。馬鹿か私は質問に答えてないじゃないか。

「名前こそ洋服かわいい」


誉められたのは洋服だ、勘違いするな私じゃないぞ。落ち着け心臓。止まれ心拍。あ、止まっちゃだめだ。静まれ。


「ごめんね、寒かったでしょ」


寒くないよっていうのはもちろん嘘だけどそっか良かった、ってヒロトがホッとするから私の胸になんだかじんわりあたたかくなる。良かったヒロトが困った顔しなくて。何だろう会う前はあんなにヒロトのばかーって気分だったのにやっぱりこれは惚れた弱み何だろう。だからといって一切連絡をくれなかったのは心配したから何でだって問い詰めたら緊張して出来なかったとのこと。緊張ってなんだヒロト。多分クエスチョンマークを頭に浮かべていた私を見かねてだろう。ヒロトは口を開いてとんでもないことを口にした。



「好きな子の前ではいつも緊張するよ」



そうだね納得。だって私もヒロトを前にすると緊張するもん。って何。好きな子?だれ?なんで顔赤いの、私まで伝染したじゃないか。






林檎はいかが?


240122 僕とおそろいだね



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