短編 | ナノ



突然だけれど私の幼なじみは他の同世代と比べて抜きん出て端正な顔立ちをしていると思う。たとえ過去にピッチリスーツで宇宙人を名乗っていても、告白紛いな台詞を同性にぶつけても、神出鬼没ぶりがもはやストーカーレベルでも、大事な部分を迫らせるシュートを打とうとも私の幼なじみである。学生時代に自己紹介にこれらを引用したことがあるが、やめてくれるかなと背筋が凍る笑みを幼なじみ様にされたので残念ながら口に出せない。お口にチャックを縫い付けられたくないのだから理解してくれ。普通の中学生に在らざる経歴と美貌を兼ねそろえた彼は私の所謂初恋の相手でもある。小さいころによくある○○くんとけっこんするの!は当然のごとくヒロトに捧げている。ほっぺを赤らめて困ったように笑った彼はやっぱり好きだった。その幼い恋心が成長し続けてもずっと守られているだなんて奴は知らない。まあそんなヒロトとも中学を卒業してからは疎遠でここ十年はまともに連絡を取っていなかったように記憶しているから知らないのも無理はない。そこに突然きたメールだ。意外と筆不精なあいつらしい変わらないメールアドレスに何かと思いながら開けると○日に河川敷で待ってると至って簡素な文章が表示された。いやだから時間いつだよ。それでも私は目一杯のおしゃれをして河川敷のサッカーコートのベンチに腰掛けて朝早くからヒロトを待っている。なんだこれ惚れた弱みか。






恋心洗脳



231128 あんたはやく来なさいよ



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