ある日のバイト終わり。店長である白藤の一言により、休憩室は色めき立った。小鳥遊と山田を除いて、なのだが。

「来週から都城が、復帰するぞ」
「本当!?　杏子さん」
「ああ、今日、連絡が入ってな」
「都城さんが帰ってきたら、伊波ちゃん、安心だね！」
「俺たちも一安心だよ……」

嬉しそうなバイトメンバーについていけず、ぽかんとしていると山田が騒ぎだした。

「都城って誰ですか！　山田を除け者にしないでください!!」
「ごめんごめん、葵ちゃん。都城さんはね、バイトでキッチン担当のお姉さんなんだ！　しっかりしてて、頼りになるんだよー」

種島の説明を聞き、小鳥遊は、ふと思ったことを呟く。「復帰ってどういうことだ……？」と。その声を、すかさず聞きつけた相馬が答える。

「都城さん、三ヶ月前に事故ったんだよね……。それから、病院生活を経て自宅療養。で、やっと治って職場復帰ってわけ」
「そうだったんですか……」
「まあ、いい人だし、楽しみにしてなよ。小鳥遊君も、きっと気に入られるんじゃないかな？」
「そ、そうですか……？」

ニヤニヤしながら告げる相馬に、曖昧な返事を返す。
この店でバイトをしている連中には、変人が多い。相馬の態度からして、きっと都城さんとやらも、変人なのだろう。

(変人に気に入られてもなぁ……)

思わず溜め息をつきそうになったが、嬉しそうにはしゃぐバイトメンバーを見て、ついつい自分も笑みをこぼした。



[＊prev] [next＃]