空恋模様 | ナノ


彼氏(偽)が変態認定されています。 [ 9/13 ]

相馬くんが、16歳の若い女の子にひっつかれて興奮する男になった翌日。未だに彼は、バイトメンバーから遠巻きにひそひそされていた。
昨日、相馬くんは必死でみんなの誤解を解こうとしていたものの、純粋なぽぷらちゃんとまひるちゃんは信じきっていて、顔を青くし怯えるので話にならなかったのだ。
山田さんも何故か信じきっているし、このままだといずれ店長や轟さんにも話が行くだろう。
ちなみに、小鳥遊くんは最初から山田さんの話を信じておらず、後々相馬くんと私から経緯を聞いて納得していた。

「おっす」
「おはよう、佐藤くん」

相馬くんが針のむしろ状態でひどく疲弊しきっていたお昼過ぎ。佐藤くんは出勤早々、首をひねった。

「相馬のやつ、どうしたんだ?」
「昨日から、山田さん、ぽぷらちゃん、まひるちゃんに逃げられてるの」
「なんでまた」
「16歳の若い女の子にひっつかれて興奮する男になっちゃったから」

ふふっと笑いながら教えてあげると、弱々しい声で「佐藤くんにまで適当なこと言わないでよ……」と相馬くんに抗議を受ける。

「経緯としてはその通りじゃない」
「都城さん、端折りすぎ!」
「端折り方に関しては意図的よ。そっちの方が面白いじゃない」
「詳しくは知らんが、相馬も同じようなことするじゃねぇか」
「くっ……そう言われると言い返せない……!」
「で、ほんとは何があったんだ?」

仕事に入りながら訊ねる佐藤くんは、本当に仕事熱心だなぁ……なんて思いつつ。私もいつまでも喋っている訳にはいかないので、さっさと作業を始める。もちろん、話すことも忘れずにだ。

「昨日、山田さんがまた怒られちゃったのよ。小鳥遊くんに。それで、慰めてくれって相馬くんにひっついてきたの」
「まあ、いつも通りだな」
「で、相馬くんが山田さんを剥がしてって言うから、助けてあげたのよ。以上」
「それで、なんで相馬が避けられるんだ?」

合点がいかないのも無理はない。今の話に何もおかしな所なんてない上に、相馬くん変態説とは何ら繋がらないのだから。

「都城さんの助け方が問題だったんですよ」
「あ、小鳥遊くん」
「都城さん、流石に相馬さんが可哀想なのでちゃんと説明してあげてください」
「小鳥遊くんが言うなら仕方ないわねー」

再度説明を始め、全ての経緯を伝え終わると、佐藤くんは「あー……災難だったな相馬」とだけ口にした。嬉しそうなのは、普段から余計な事ばかりされているからだろうか。

「まあ、頑張れよ」
「佐藤くん……、すごく嬉しそうだね!?」
「当たり前だろ。お前の不幸とか、喜ぶ以外にどうすればいいんだ」
「ひどい!!」

ギャーギャー喚く相馬くんを無視して、私によくやったとでも言いたげな視線を送ってくるので、サムズアップで応えておいた。小鳥遊くんは、大人の悪ふざけに何とも言えない顔をしていた。

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