にゃんこの襲来 | ナノ


日常に入り込む猫 [ 5/7 ]

及川くんと挨拶を交わした昨日の朝から、なんだか視線がよく刺さる。私が一体何をしたというのだろう。隣のクラスにいる知り合いの男子を見かけたから、挨拶しただけなのに。……なんてことは思わない。むしろ、妬み嫉みを買うためにわざわざ目立つように挨拶をしたのだから。
及川くんのスペック(モテるイケメン)と私のスペック(モテる美少女、あざとい)、を見てみれば、視線が集まるのも仕方がない。女子からしてみれば、「みんなの及川くんに、あざといぶりっ子(美少女)が何か仕掛けに行った!」なんて状況なのだし。
さて、今日も頑張って及川くんと何かしら関わらなければ。
そう意気込み、私は朝練終わりの及川くんと鉢合わせるために、わざわざ職員室に寄り道するのだった。

○○○

「あ、及川くん! こんにちは」
「栗田さん! やっほ〜。これからお昼ご飯?」
「はい、今日はお弁当を忘れてしまったので……。学食に行くところです」

えへへ、と可愛らしくはにかんでみせる栗田さんをみて、彼女の擬態は完璧だなぁ、と。そんなことを思った。

「じゃあ、私友だちを待たせてるので、行きますね」
「うん、またね〜」

お互いに手を振り別れると、どこから見ていたのやら、マッキーがニヤニヤと声をかけてきた。

「さすが及川だな〜」
「なんなのさ」
「お前、今までの女子じゃ飽き足らず、遂には栗田さんにまで手を出したか」

「このこの」と肘で小突いてくるマッキーに「人聞きの悪いこと言わないでよ!」と抗議の声をあげるが、抗議されている本人は何処吹く風である。

「栗田さんとはそんなんじゃないからね!」
「でも最近、ほぼ毎日じゃね? 俺も松川も岩泉も、誰かしらお前と栗田さんが話してるの見てるけど」

そう言われて思い返してみれば、確かにこの数日……というか、栗田さんと知り合ってから毎日、時間は違えど栗田さんと話している気がする。それも毎回栗田さんからだ。と言っても不自然なほどにぐいぐいと話しに来るとかではなく、どこかで偶然出会ったら、向こうから挨拶をしてきて、そこで少しお話して終わり。みたいなものである。
意識して考えるまで気づかなかったけど、もしかして栗田さんに見張られてる……? それに、意識するまで栗田さんと毎日話してることに気づかないって、かなり巧妙に見張られてるのでは……?
そんな疑問がでてきたけれど、気にしても仕方がないし、実害もない。ひとまずは忘れて、マッキーと共に、岩ちゃんまっつんの元へと向かうのだった。

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