大きなびせいぶつ | ナノ


到着

「もう着くで、起きぃ」

心地よくうとうとしていると、 坊の声に起こされた。気づけば、かなりの時間眠っていたようだ。

「志摩さん、よう寝たはりましたね」
「ん〜、なんかめっちゃ夢見てたわ……」
「夢?」
「あの、さっき話してた小杉の」

そう言うと、子猫さんは納得したように「あぁ」と声をあげた。坊はニヤニヤと顔が笑っている。一体何だと言うのか。なんとなく居心地が悪くて身じろぎした。

「お前、なんや寝言言うててん。小杉がどうのって」
「小杉さんの夢見てたから、あんなに小杉さんのこと呼んではったんですね」

微笑ましいものを見るかのように、穏やかな笑みを携える子猫さん。そんな目で見られても……と、そう思わないでもないが、言ってもおそらく無駄だろう。

「小杉さん、なんで転校しはったんやっけ?」
「親の転勤や言うてたけど……。今、どないしてんのやろなぁ」
「正十字行ったら、案外おったりしてな」
「またまたぁ、まさか」

そんな話をしながら三人で笑っていると、新幹線が駅につき、人混みに流されそうになりながら、なんとか三人揃って外に出る。
今日から、東京で暮らすという実感が少しずつ沸いてきて、なんだか変な気持ちだった。
入学式まであと数日。ついでに、小杉と再開するまであと数日。……今の俺は、そんなこと全く知るよしもない。

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