enjoy リアリティ! | ナノ


おバカ二人とエンカウント


なんだかんだで夏休みも終わりまして、今は8月後半です。
予定ぎっしりとまでは行かないにしても、それなりに楽しめた夏休み。仁花がいれば最高だったのにな、なんてどうしようもないことを思うのはやめよう。
久しぶりの登校。そして、その日の昼休み。仁花と昼食を摂っていれば、「谷地さん!」と仁花を呼ぶ声が。

「あれ? 日向?」
「日向? 例の部活の?」
「うん、そうそう。ちょっと行ってくるね」
「いってら〜」

日向と言えば、仁花のことを少女漫画よろしく手を引いて走ったり、すごくよく跳ねたり動いたりする、元気な低身長か。
仁花から聞いていた話を思い出し、それぞれのパーツを繋ぎ合わせるとそこそこにとんでもない人になった。結構変わったやつなんじゃなかろうか。
なんとなく興味がわいて、仁花と日向くんとやらのいるドアの方へ。

「ひーとーか!」
「麻里ちゃん? どうかしたの?」
「日向くんとやらが気になって来ちゃった」
「俺?」

声の方を見てみれば、身長は私より少し高いくらいでオレンジの髪をした男の子。と、横に大きな黒髪の男の子……?

「君が日向くん? ……と影山くん? 私、仁花の友人の坂本麻里でーす。よろしくね。仁花から話は色々聞いてるよ」
「谷地さんの友だち! 俺、日向翔陽! 日向でいいよ! で、こっちが影山!」
「……よろしく」

まさかの影山くんにまで出会えるとは。仁花からの話では、バレーがすごく上手でトスが特にうまい。日向とよく喧嘩してて、「ボゲェ」が口癖だっけ……? あ、あと二人ともあんまり頭はよくない、か。

「ごめんね、仁花との話邪魔しちゃって」
「全然いいよ! 坂本さんは何部!? バレーとか好き?」

日向、結構グイグイ来るな……。話に聞いてた以上のコミュ力。

「今は帰宅部。バレーは結構好きだよ」
「ほんと!?」
「麻里ちゃんは、中学時代バレー部だったんだって」
「へー! ポジションは?」
「一応セッターやってたよ」
「じゃあ影山と一緒だ! なんで今はやってないの?」

おお、想像以上にグイグイくる……!バレー好きな人の前で、「なんとなく休みたくて、てへぺろ☆ついでに彼氏も欲しくって☆」とは言えない……!
よし、話題転換をはかろう。

「それよりさ、日向たちは仁花に何の用事だったの?」
「あ、忘れてた! 谷地さん、ここ教えて欲しいんだけど……。俺も影山もわかんなくて」
「じゃあ、中でやる?」
「うん、ありがと!」

影山くんもペコリと軽く頭を下げて、教室内へ。喋るの苦手っていうか、コミュ障なのか……? それとも人見知りか……。
私と仁花の机を片付けて、二人に提供する。

「これ?」
「うん、谷地さんわかる?」
「わかると思うけど、時間かかっちゃうかも……。ここ、あんまり得意じゃなくて……」
「そっか……」
「お役に立てなくて申し訳ない……! 地面に埋まってお詫びします……!!」
「えっ!? 谷地さん、落ち着いて!」

ネガティブを発動させる仁花の後ろから、二人の持ってきたプリントを覗き見る。

「……ここなら私わかるよ」
「え?」

ポカンとした顔で私を見てくる三人に、「私も一応5組なので」といい机の中からノートを探す。

「教えるから、早くシャーペン握って〜」
「坂本さん、ありがと!」
「あざっす」
「いえいえ〜」

ちなみにこの後、懇切丁寧にわかり易く教えたつもりだったのに、教えたことの半分しか理解できない馬鹿二人を見て、今度からは仁花が教えてるときにも手伝ってあげよう……と密かに誓うのだった。

prev / next


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -