enjoy リアリティ! | ナノ


空きまくりサマーバケーション


「あのね、麻里ちゃん。その……バレー部で東京に合宿に行くことが確定してね、それに、毎日練習でやっぱり空きがなさそうでね」
「それって……まさか……」
「うん……遊べる日、なくなりそうなの……」

仁花が何かを頑張ること自体は応援したい。バレー部が忙しいのも、重々承知していた。それでも、それでも、ちょっとくらいは遊ぼうね! って言ってたのにぃぃぃぃ!!
もちろん、私は大人だから、仁花を責めるようなことは言わない。(そもそも仁花は悪くない)笑顔で「頑張って」と送り出すのみ!

「そっか……。残念だけど仕方ないね! 頑張って!!」

私、今笑顔で言えてるかな……。少女漫画のような、いじらしい健気系ヒロイン気取りでそんなことを思ってみる。

「ほんとにごめんね!! お土産とか買ってくる暇もない可能性高いらしくて……。でも、毎日メールするから!」
「仁花……! ありがとう!! 大好き!!」
「え、いやぁ、そんな!」

がばっと抱きつけば、少し照れたようにする仁花。仁花のこのサイズ感、私にはすごくぴったりだ。
さてしかし、一体どうしたものか。帰宅部の私には、夏休みにやることがない。宿題? それはやりますとも、ええもちろん。

(去年の夏休みは部活三昧で、やることないとか言ってられなかったなぁ……)

ふと、自分がバレーボールをやっていた中学時代を思い浮かべる。あの頃は、毎日それなりに練習して、それなりに疲れて、それなりに楽しんでたなぁ……。あれも一種の青春でリア充か……。見ようによっては。
強豪校にいたわけではないので、「うおおおお! 行くぜ全国! バレーに青春かけるぜぇ! ひゃっはー!!」みたいな感じではなかったけれども。それでも、やっぱり練習はほぼ毎日あったわけで。一度でいいから、部活以外の予定でいっぱいの夏休みを過ごしたいとか思ってたなぁ……。その一回目のチャンスが、まさかの相手方の部活で潰れちゃったんだけど。

「仁花以外にも、友達はいるけどさ〜。やっぱり、仁花とも過ごしたいよね、夏休み」

ふと零した呟きに、仁花が目を潤ませながら「麻里ちゃん……!」と反応していた。責めてるわけじゃないけど、そうともとれなくもない内容だっただけに、仁花が素直に受け取ってくれてよかったな……と柄にもなく、色々真面目なことを思ってみたりして。

prev / next


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -