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日々をエンジョイするために!


ボールの跳ねる音や、スパイク、レシーブなどで肌とボールとが当たる音。靴底と床が擦れる度に、キュキュっとスキール音に似たものが響く。涼しくなってきた10月とはいえ、まだ少し蒸し暑い体育館の中を、私は体操服で動き回っていた。

「麻里ちゃん、大丈夫? しんどくない?」
「はい! 全然大丈夫です!」
「一年くらいブランクあるのに、よく動くね〜」

先輩の言葉に「体力には自信がありますから!」と胸を張って答える。しかし、自信があるとは言ったものの、久しぶりにきちんと部活動をすると、かなり疲れる。最初は見学だけのつもりだったけど、見てるとやっぱりやりたくなってきちゃうよね……。
なんだかんだ、変わらずバレーボールが好きな私には驚きである。
記憶に新しい、春高宮城代表決定戦の日。あの日、私はある事を決めてから、メラメラとやる気が燃えさかり、なんかもう、ここまで来たら誰かに宣言したい! と衝動のままに、烏野のいるコートに叫び出してしまった。

○○○

「仁花ぁぁぁぁ!」
「!? 麻里ちゃん!?」
「私ぃ! バレー部入るぅぅぅ!!」

大きく叫んだ私の一言に、烏野高校排球部がいろんな意味でざわめく。「また女マネが!?」「叫んだ!?」などと言っているが、距離の関係上私には聞こえない。私の叫びは他校の応援の声や、会場のざわめきによって、烏野コートにしか届いていなかったようで、私の中に少しだけ残っていた理性がほっと安堵する。
さあ、残りひと叫び!

「女バレ入ってぇ!! もっかい頑張るぅぅぅぅぅぅ!!」
「女バレ!?」
「マネージャーじゃないのか!?」
「今のはうちに入る流れだろ!」

○○○

と、こんなことがあり。
今日、無事女バレに入部を果たした私は、バレーにまたまた青春を捧げるのである。高校入学からの目標だった“彼氏を作ること”と“リア充になること”は半分だけ諦めて、半分だけ達成という形になったけど、毎日が楽しく過ごせるならば、なんだっていい。
日々を楽しく過ごすために努力さえ忘れなければ、きっと、それで十分リアルは充実していくのだ!

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