再度決心して



縁下に告白を試みてから約一ヶ月。その間に失敗した、2回の告白が苦い記憶として、私の中をぐるぐるまわる。

「和〜、大丈夫ー?」

我が部活仲間であり、クラスメイトでもある友人の声が聞こえるが、返事をする余裕はない。ダメージが深刻すぎる。

(一年生最後の日と、この前のゴミ捨ての時か……)

他は呼び出しの時点で断られているので、告白をすることすらできていない。縁下もそこまで鈍くないだろうし、私が告白しようとしてるのは、わかってるんだろうけど……。そんなに遮ってまで逃げ回る程、私のことが嫌いなのだろうか。
普段からわりとポジティブと言われてる私でさえ、ここまで失敗すれば流石にへこむ。段々マイナス思考になってきてるな……と感じるものの、それを止める術は思いつかない。
ゴミ捨てに行く途中で告白など、ムードもへったくれもないのだが、そんなものを考えて呼び出せば、絶対に断られる。
この前の失敗から、縁下のガードは明らかに固くなっていた。普通に会話はしてくれるものの、教室や廊下など、人がいるところでないと逃げられるし、二人きりになりそうならば、何かと理由をつけて去っていく。
ここまで嫌がられてるなら、いっそのこと告白しない方が縁下のためなのだろうか。縁下のことは大好きだし、嫌がるようなことはしたくない。それならば、告白なんてやめてしまったほうが……。
どんよりと暗い気持ちになってしまい、ぶんぶんと頭を振る。
二年生になったとき、誓ったじゃないか。今年中に一度でもいいから伝えると! 気持ちの押し付けかもしれないけど、それでも、伝えなくて後悔するのは嫌だ! 直接はもしかしたら、縁下も気まずくて嫌なのかもしれない。私の都合ばかり優先させる時じゃないし……。

「電話だ!」

ガタッと急に立ち上がり叫んだ私に、クラスメイトたちは驚きの声をあげる。

「和、声でかい! さっきまでなんかへこんでたくせに……」
「えへへ、演劇部だから〜。へこみタイムは、もう終わりー!」
「まあ、元気になってよかったわ……。頑張んなよね。何とは言わないけど」

我が友人様には、私のことなどお見通しのようである。よく単純だとは言われるけど、それを証明されてるようで、微妙な気分だ。

「……ありがと! さ、ごはん食べよ!」

一先ずは、昼食をとって英気を養おう。腹が減っては戦は出来ぬと言いますし!

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テーマ「人外ファンタジー」
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