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運命ではなく(人為的すぎる)必然 [ 3/4 ]

恋に恋するお年頃……をとうに過ぎた18歳。
大学入学にあたって、バイト先が決まらず困り果てていた私に、運命の人がやってきた。
その人……相馬さんというのだが、との出会いは、本当に運命的。たまたま偶然、道を聞かれ、その一週間後、たまたま偶然再会。この前のお礼にと、喫茶店でお茶をしていれば、「バイト先が人手不足で困ってるんだよね〜」なんて言う相馬さん。
私はすぐに飛びついた。
イケメンで優しげな相馬さん。そんな方と運命的な出会いをはたし、更にはバイト先まで決まる。これはもう、相馬さんが運命の人ってことでいいよね!?
恋に恋するお年頃を過ぎようと、女の子は運命にコロっといってしまうのです。というか、イケメンにコロっといってしまうのです。なんて、元も子もない話は置いといて。
今日はそんなバイト一日目なのですが、先輩方は、皆さん個性的過ぎです。

(私、やっていけるかなぁ……。いい人そうだけど、色々おかしい)

「名字さん、お疲れ様ー」
「相馬さん!」
「どう? バイト初日」
「思ったよりきついです……けど、頑張ります!」
「そっか、ならよかった。あ、次休憩だよ」
「あ、ありがとうございます!」

相馬さんと軽く話して、元気は復活! なんて思ったのも束の間。休憩室には、まだ全然話したことのない佐藤さんが。

「ん、新入りか」
「は、はい! よろしくお願いします!」

共通の話題もなくて、とりあえず相馬さんの話をしてみる。

「あ、えっと……相馬さんって、かっこいいし優しいし、良い方ですよね」
「はぁ?」

怪訝な表情を浮かべたあとに、とんでもないことを言い放つ。

「あいつはただの下衆だぞ」

佐藤さんの言葉に、頭の中は疑問符でいっぱいだ。

「え、あの……え?」

自分の処理能力に限界を感じ、混乱していると「まあ、お前は猫かぶりしか見てないしな……。いずれわかる」と言い、去っていく佐藤さん。
佐藤さんの言葉通り、一週間後にはその言葉の意味を知るのだが、今の私にそれを知る術はない。 
ちなみに、この世に運命なんてないことも、その時に知ることとなる。

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