イレギュラー | ナノ

 第十八話水の都にて 1

『こんにちはー』
突如現れた二つの人影に、社長室にいたカリファとパウリー、ルッチとカクは身構えた。
一人は少女、もう一人は奇妙な仮面をつけた男で、二人とも同じデザインの黒のコートを着ている。
「誰だお前ら!」
『誰だって言われても……』
パウリーの問いかけに、二人(ひとりは表情がわからないが)は困った顔をした。
『一応、アイスバークさんに呼ばれてきたんですが』
少女の方が眉間に思いっきりしわを寄せながら言う。
それでも四人は構えを解かない。
おっかないなあ。と男が言った。
言葉とは裏腹に、声からは全く恐れを感じない。
むしろ楽しんでいるふうだ。
飄々とした態度がさらに警戒心を煽る。
「とりあえず、名を名乗れッポー」
「あれ? こっちにも忍鳥が?」
『トビ、腹話術だよ』
どうやら男の方はトビというらしい。
『申し遅れました、わたし達は何でも屋、"暁"の者です』
急にかしこまった少女が言った。
『わたしは黒曜 夜兎。こちらはトビといいます。この度はアイスバーク様にご依頼を受け、参りました』
「どうやって入ってきたんじゃ?」
『誠に申し訳ありませんが、正面から入れて頂けませんでしたので、忍び込ませていただきました』
悪びれるふうもなく、彼女――夜兎は言った。
ここは町長室も兼ねており、それなりに警備もしっかりしている。
それをこんな子供、それも女が忍び込んだと言った。
より警戒を強める四人。
乱闘直前の雰囲気の中、アイスバークが帰宅(?)した。

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