イレギュラー | ナノ

 第十八話水の都にて 1

「ンマー。うちの部下が悪かったな」
『いえいえ、いきなりお伺いした此方にも非はあります』
先程とは違いほのぼのとした雰囲気の社長室、なんてことはなく、パウリーたち四人は未だに警戒している。
『で、ご用件は?』
「知り合いの猫がいなくなっちまってな、探して欲しいんだ」
「猫ちゃんの特徴は?」
トビが尋ねる。
「少し太りぎみの大きなトラ猫でな、もともとノラだったんで、脱走グセが付いてるらしい。
名前はムシクイ。左の耳が虫に食われたみたいにちぎれてるんだ」
カリカリと夜兎がメモをとる。
『首輪とかは付けてないんですか?』
「青いスカーフを首輪替わりにつけてるって言ってたな」
「で、料金はいくらぐらいなんだ?」
「3000から5000ベリーってとこですかね」
トビが言った。
「意外と安いんだな」
『ペット探しなんてそんなもんですよ』
夜兎は首をすくめた。
『それじゃ、早速探してきます』
言うが早いか、二人は窓から飛び降りた。
思わず窓に駆け寄った五人が見たのは、屋根の上を駆けていく、二つの影だった。
「ンマー、山風も真っ青だな」
「アイスバークさん、彼らは何者なんですか?」
カリファが尋ねる。
「何でも屋だ」
キッパリと、楽しそうにアイスバークは言った。

prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -