イレギュラー | ナノ

 第一七話呼ぶ声

「……さん……」
「夜兎さん!」
『……あれ』
気がつくと、白と鬼鮫が心配そうに覗き込んでいる。
どうやら、眠ってしまっていたみたいだ。
「大丈夫ですか?大分うなされていたようですけれど」
『ん、ありがとう白。大丈夫だよ』
話しかける白の後ろで、鬼鮫は何とも言えない顔をしていた。
多分、わたしの過去を知っているから。
白と再不斬にも話したほうがいいよね。
でも、今はちょっと無理だ。
また今度、気持ちがゆっくり落ち着いてからがいい。
うん、そうしよう。
「夜兎さん」
『何、鬼鮫』
「無理は、しないでください」
「私たちがあなたを必要としてますから」
『……ありがとう』
ごめんね、私のことを心配してくれてるって、分かってるんだ。
私にとって一番大事なのも暁のみんなだよ。
でもね、元の世界で私に焼き付いた記憶は、
簡単には、消えてくれないんだよ。
『さあ! リーダーに任務ないか聞いてこようっと!』
せめて、元気に振舞うよ。
みんなが、笑ってくれるように。

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