イレギュラー | ナノ

 第十六話海軍本部へ

『やっぱり、いきなり億超三人はまずかったね』
「まさか建物の中に通されるとは、思ってもみませんでしたね」
海兵に引率され、4人――トビと夜兎、再不斬と白――はのんびりと、しかしあたりを警戒しつつ、海軍本部の廊下を歩いていた。
「いきなり後ろからグサリ、なんてな」
『それはないと思うよ。
一応、わたし達は善良な一般市民なわけだし』
笑えない冗談を言った再不斬に夜兎が返す。
「でも一番偉い人なんですよね、まともな人なんでしょうか?」
『海軍はこの手の組織には珍しく、上層部に行けば行くほどイイ人なんだよ』
まぁ、約一名若干行き過ぎちゃってる人はいるけど。
白の疑問に答えた夜兎が付け加えた一言で、海兵達の雰囲気が若干敵意にみちる。
「っていうか、よく僕らその人の部下の前でこんな会話してますね」
「正直、あまり骨の有りそうなのがいないんだが」
一気に膨れ上がった殺気も、発言者の本人のにらみによって霧散する。
『下っ端だからねぇ。人柱力並みに強いのもゴロゴロいるよ』
あまり舐めてもらっては困るため、夜兎は海軍をフォローした。
いまいちフォローになってないが。
『ところで、この手の任務に人一倍一生懸命な角都は?』
「多分、4、5人殺ってから来るんじゃないですか?」
「二人で、ですか?」
流石にそれは無理じゃないかと白が言う。
『お金が絡むと角都は強いから。
絡まなくても十分強いけど』
「そういえば、やけにウキウキしてたな……」
たった1日足らずしか一緒にいないが、かなり分かり易い連中だと再不斬は思った。
「二人とも不死身だし、大丈夫でしょう」
分かりにくさナンバーワンの男が返す。
それは二人の安否などどうでもいいよいうよりは、仲間の武勇を信頼しているように聞こえた。
「ああ、ついたみたいですよ」
目の前にある大きなふすま。
そういえばここは日本風の建築様式だったな。
と夜兎は今更ながら思い出した。

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