「困った…」


夜、部屋で勉強をしていると解らない問題があった
いつもは調べたり、解き直したりすれば答えが分かるのだが今回のは中々…いやかなり難しい、全く解らない


うーん、うーんと頭を抱えて考えてみても全くわからないので誰かに聞きに行くことにした


テキストを抱えて廊下を歩きながら誰に聞きに行こうかと悩んだ



「(さて誰に聞くか…)」


「何をしているナマエ」


後ろから聞き慣れた声がし振り返ると治兄さんが立っていた


「あ、デザーム兄さん」


そうだ、治兄さんならこの問題を分かるかもしれない



「デザーム兄さんはこの問題解ける?」


「ふむ…この問題か…」



テキストを渡し、様子をうかがっていると段々治兄さんの眉間にシワがよってきた



「に、兄さん?おーいデザーム兄さーん」


「う…ぬぬ…」


まずい。こんな治兄さんを見たのは始めてだ!いったいどうしたら!?


「デザーム兄さん!もういいよ、解けなくてもいいから!」



「あれ?何してるの?」


見るとグランが興味ありげな表情をしてこちらに近づいてきた


「解らない問題があってそれをデザーム兄さんに見てもらったら…」


「なるほど、こうなった訳ね」


そういうと治兄さんが持っていたテキストを取り。ふんふんと頷きながら目を通している


まさか…解けるのか!?治兄さんと目配せをして、グランが答えを言うのを待った


暫くするとグランがテキストをパタンとたたみこちらを見、治兄さんと私はゴクリと唾を飲みこんだ



「うん。解らないね」



…もし私がよくテレビに映っているような若手芸人なら派手にずっこけている所だろう


はぁーと何に対してのものか解らないため息を2人でついているとグランが予想外の事をいいだした



「だってこれ俺がナマエの部屋に置いていった高校生用の問題集だもん」




「「…は?」」


グランいわく、私がよく暇な時に部屋で問題集を解いていることを何処からか聞きつけ、ちょっとしたイタズラ心で置いてみたらしい「いやー見事に引っかかってくれてありがとう。この本は記念にあげるよ、じゃあね」


「な…何が記念よ!何よグランのバカァ!」



ひらひらと手を振ってグランは走っていってしまい小さくなっていくその後ろ姿に私は罵声を投げた



「…しかし私はナマエの役に立てなかったな」


肩をすくめて苦笑いをしながら治兄さんは言った


「そんなことないよ!デザーム兄さんは一生懸命考えてくれたよ!……あの。もし良ければなんだけどまた解らない所が合ったら聞きに行ってもいい?」


「…ああ、私でよかったら何時でもおいで」


「うん!」



さっきまでのヒロトへの苛立ちも何処へやら私の頭を治兄さんの暖かい手が撫でてくれた。其れだけで心がじわじわ温かくなる

もし私がこの問題集を解けるくらいの年齢になったら私達はどうなっているのだろう




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