ざぁざぁと大きな音を立てて空から水が落ちてきた


「今日は雨か…」


エイリア学園はドーム状だから雨が振ろうが雪が振ろうが関係ないのだが、今日は各自で自主トレということになり、みんなバラバラのことをしているので私は今日特に忙しくもなくぼんやりしていた。



「どうしようかな…」



いざ自由な時間が出来ても何をしていいのか分からない。


みんなのデータまとめは、もう終わってるし。勉強も、もう予習済みだ。あとでみんなに飲み物を持って行くにしてもまだ時間がある



「うーん………あ、そうだ!」

珍しくみんながいないグラウンドに向けて私は少し小走りで向かった



………



チラリとグラウンドをのぞくと、やはり誰も居なく私は心の中でしめしめと思いながらサッカーボールを胸に抱え1人きりのグラウンドに出た。



ぽーん



静寂の中ボールを蹴る音が鳴る



ぽーんぽーん



ボールを蹴りながら私は体が弱くなければみんなとこうしてサッカーが出来たのに。と悔やんだ


それに

「サッカーが出来れば治兄さんの役にもたてたのかな…」

「相変わらずナマエはデザームが好きだね」


後ろからいきなり聞こえた声にびっくりし、恐る恐る振り返るとグランが笑顔で立っていた



「グラン…もう、びっくりした」


「ふふ。びっくりじゃなくてデザームじゃなくてがっかりでしょ?」


私は少しムッとした
何だ?今日のグランはえらくつっかかってくる



「別にそんなこと思ってないよ、グランだろうとデザーム兄さんだろうと関係ない」


「そう?ならいいんだけど」



何を考えているのか読めない笑顔で答えるグラン
居心地の悪いこの場からさっさと離れたくて私は口を開いた



「グラン今からここ練習に使うよね?私はもういいから後は好きに使って」



それじゃあ、と出口に向かう為にグランの横を通ると私の左手を強く掴まれた




「…何?」


「ナマエ、父さんの夢を叶えるのも大事だけど、あまり自分の心を抑えちゃだめだよ?」


「……」



そういうとグランが掴んでいた手の力が緩んだので私はすぐその手を払い駆け出した


グランといると心の底にしまったモノが出てきてしまいそうだったから




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