「はい。デザーム様」
「……」
「あれ?デザーム様ー?おーい」
「…おいレベッカ」
「はいはい何ですか?デザーム様」
「様をつけるな」
「…はい?」
『鈍感ボーイ&ガール』
サッカーの練習後に私が差し出したドリンクに目も向けず、分けの分からないことをデザーム様が言い出した
「いやいやデザーム様はデザーム様ですよ?なにを今更」
「ふっ…私は昨日地球人のことを書物で学んだのだ」
ふふん、と得意げに話し出した
「その書物の中で、ある貴族の若者は従者の女にこう言った【今は様をつけずに名前で呼んでほしい】とな」
「なッ!なんでですか?」
「それは…」
「それは…?」
「相手の女が好きで、上の立場に居るのが嫌だったからだ」
「な…なるほど!」
「だから、今から私のことを様付けするな」
「わかりました!デザームさ…デザーム!」「よし!それでいい!!」
……………
(((ええぇぇえ!!!)))
(今の遠まわしな告白…だよね?)
(レベッカ…なんて鈍感な…)
(しかもデザーム様も無自覚っぽいよ?)
なんて、先が思いやられる2人なんだ。
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