ヒソカが仕事仲間さんを空港まで迎えに行ってから、約6時間が経った。 時刻は午前0時。 そろそろ帰ってくる頃だろう。 「……あ、帰ってきた」 車の音が止んでしばらくして、玄関の扉が開かれる。 スリッパを鳴らしながら急ぎ足で玄関へ向かう。 「おかえり、ヒソカ」 「ただいま、***」 仕事仲間さんのことも気になるけど、まずはヒソカとおかえりのハグ。 離れ際にはヒソカから頬にキス。 そんな一連の流れを終え、ようやく仕事仲間さんと対面することができた。 「わ、………」 仕事仲間さんの顔を見た瞬間、思わず声が漏れる。 び、美形だ……… 女の人と見紛うくらい中性的で整った顔。 艶のある長く美しい黒髪。 驚くほど白くて透き通った肌。 それらと反するように鍛え上げられた身体。 系統は違うけれど、ヒソカに負けず劣らずの美形さんだ。 「…***、なに見惚れてるんだい?」 「ふんぅっ、!」 仕事仲間さんに見惚れてぼーっとしていると、ヒソカに鼻をつままれた。 バカヒソカ、変な声出ちゃったじゃない恥ずかしい… 咳払いして動揺する気持ちを抑え、改めて仕事仲間さんと向き合う。 「…こんな田舎まで来てくださってありがとうございます。お疲れでしょうから、どうぞ中へ」 「あぁ、ありがとう」 はぁ…声も中性的で綺麗だなぁ… なんて思っていたらまた顔に出ていたらしく、ヒソカに額をデコピンされた。 地味に痛い。 リビングのソファに座り、仕事仲間さんとテーブルを挟んで向かい合う。 ヒソカはわたしに密着するように隣に座っている。 なにも仕事仲間さんの前でくっついてこなくてもいいだろうに。 「…えっと、もうご存知かもしれないけど…わたしはヒソカの幼なじみで、***って言います」 へばりついてくるヒソカを無視して、自己紹介を始める。 「オレはイルミ。ヒソカとは…まぁ、ビジネスパートナーみたいな関係?」 「イルミさんって言うんですか〜外見通り綺麗で素敵なお名前ですね〜…………って、 ……………………イルミ?」 ………ちょ、ちょっとまって、 ……イルミさんって、 「っち、ちょっとヒソカ…!」 「なんだい?」 ヒソカの腕を引っ張り、身体を引き寄せ、耳打ちをする。 「イルミさん、って女の人じゃなかったの…!?」 「…………」 「…………ヒソカ、なに変なこと吹き込んでるのさ」 聞かれないようにと耳打ちしたはずなのに、どうやらばっちり聞こえてしまったらしい。 横目でイルミさんの表情を窺ってみると、変化はない、…ように見えるけどなんだか微かに怒っているようないないような、なんだかもう無表情すぎてよく分からない。 「くくっ……***、イルミのことずっと女だと思ってたのかい?」 「だ、だって…!ヒソカは男性とも女性とも言ってなかったし、……それに…綺麗な名前だから……その…勘違い………しちゃって……」 ………言い訳するのも恥ずかしい。 穴があったら入りたいとゆうかむしろ埋めてほしいお願いだから。 「……イルミさん、その…勝手に勘違いしててごめんなさい…」 「いいよ別に。大方ヒソカがいらないこと言ったんだろうし。……それに名前誉められるの、悪い気しないし」 「っ……」 よ、よかったぁ…… どうやらイルミさんはの機嫌は損ねていないらしい。 「…改めて、よろしく、***」 「っはい…!こちらこそよろしくお願いします!」 握手のために右手を差し出すと、イルミさんは少し驚いたような顔をして、じっとわたしの手を見つめた。 「…イルミさん?」 「……あぁ、なんでもない。うん、そうだね。握手しようか」 その言葉と同時に、イルミさんがわたしの手を握る。 初めて触れたイルミさんの手は思っていたよりずっと大きくて、綺麗で、 酷く冷たかった。 ←/→ |