ミリーに妬いたヒソカが、わたしにキスをしてから早ひと月。 あれ以来、ヒソカからのスキンシップが、今までより過激になった気がする。 「……ヒソカ、動きづらいんだけど…」 キッチンに立ったはいいものの、ヒソカに後ろから抱きしめられてしまい、動きがほとんど取れないでいる。 背中にのし掛かってくる筋肉質な巨体は、果てしなく邪魔だ。 「なら動かなきゃいい◆」 …な、なんという理不尽…… 「もー…夕飯作れないでしょう?お腹すいたって言ったのヒソカじゃない」 「言ったかい?そんなこと」 「えぇ言いましたとも」 「…分かった、離れるよ。***の作った夕飯も食べたいしね」 腰に回っていた腕が解けていくのを見て、ほっとして胸を撫で下ろす。 あぁ、よかった… 今回はわりと聞き分けがよくて… 「っひゃあ…!」 なんて油断していれば、耳に生ぬるい感覚。 「っい、今!な、舐め……っ!」 「夕飯楽しみにしてるよ◆」 動揺するわたしを見ると、ヒソカは満足そうにキッチンから出ていった。 ヒソカのあの満足げな表情からすると、きっと今、わたしの顔は滑稽なほど赤いのだろう。 最近はこんなふうに、ヒソカの悪戯にドキドキしてばかりだ。 ……でも、なんでだろう、 確かにスキンシップは過激になったけど、決して嫌なわけじゃない。 むしろ、この近すぎる距離感はすごく懐かしくて心地いいくらいで。 小さい頃は、意味もなくくっついたり、手を繋いだり、触れ合うだけのキスを、毎日のようにしていたから。 昔に戻ったような、そんな気がして。 「…もう、いい大人なのにね……」 ヒソカからの親しみを感じるスキンシップを、嬉しいと感じてしまう自分に、つい苦笑がもれてしまう。 ヒソカがわたしに触れる度に、自覚させられる。 出会ってから何十年経とうが、大人になろうが、 わたしは、 ヒソカを、家族として愛してる。 ←/→ |