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幼馴染/切原視点


「ぜんぜん起きれてねーじゃんか。」

起こしてやってくれってなまえの母親に頼まれて部屋に入ってみれば、マヌケな顔をして寝てやがった。

これで寝顔が可愛かったりしたらドキッとかするんだろうけど…

幼なじみに小さい時から恋してるだとか急に意識するようになるだとか、そんなのマンガとかドラマだけの話だろ。

「とりあえず起こすか。」

声をかけたところで起きないのは分かってるから、俺は口を開けて寝てるなまえの鼻をつまんでやった。

何秒で起きるかと見てたら、だんだん眉間にシワが寄ってきた。

「………………ふがっ」

「起きたかー?」

俺はつまんでいた鼻から指を離して、ゆっくりと目を開けたなまえの顔を覗き込んだ。

「元旦の朝っぱらから人を殺す気なの?」

なまえは寝起きのすげー顔で睨んでくるけど、別に怖くねーし。

つか、むしろ笑える。

「もう昼だし。お前めちゃくちゃ元気じゃん。だいたい、あんだけ大口開けて寝てたら窒息なんかしないっての。」

任務は完了したことだし、座っていたベッドから離れる。

「っ〜〜、着替えるから出てけ!」

「へいへい。」

勢いよく飛んできた枕を軽くかわし、俺はなまえの部屋から廊下に出た。

「にしても…」

クマ柄のパジャマとか色気なさすぎだろ。

別に、アイツにそんなもん求めてねーけど。



「いつまでいじけてんだよ。大凶じゃねーんだから、いいじゃん。」

隣で暗いオーラを発しているなまえに声をかけてやれば、ジトリと睨まれた。

くじ運が悪かったのは俺のせいじゃないだろうが。

「いいよねー、大吉の人は。」

「末吉だって悪くはねー運勢だろ?」

「でも、たいした良くもないじゃん。書いてあること微妙だったもん。」

首にぐるぐる巻いたマフラーに半分くらい顔を埋めているなまえだけど、むすっと頬をふくらませているだろうことが分かる。

「そこのコンビニで肉まん買ってやるから機嫌直せって。」

お年玉をもらったばかりの俺はいつもより太っ腹だ。

「私、ピザまんがいい。」

「りょーかい。」



「ほら、熱いから気ぃつけろよ。」

「やったー、ありがと。」

ピザまんの入った袋を渡せば、ついさっきまでの不機嫌はどこへやら、なまえはへらっと笑って受け取った。

そして、袋から取り出したほかほかのピザまんに勢いよくかぶりつく。

「ん、あっつい。……けど、おいしー」

はふはふしながらピザまんを食べているなまえを見て、ほんと単純なヤツだと思う。

俺も単純って言われるけど、絶対コイツのが単純だ。

でも、コイツが平和そうに笑っているのを見るのは嫌いじゃない。

また今年もコイツと一緒に笑ったり怒ったりするんだろうなと思いながら、俺は自分の肉まんにかぶりついた。



変わらない友情

(2012.01.01)

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