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恋人(同学年)/ヒロイン視点


高くなった空を見上げる。

暑い夏が過ぎ去り、次に訪れた季節は人恋しい気持ちにさせる。

向かった中庭で、午後のまだ少し強い陽射しを避けるように大きな木の陰で眠っているジローを見つけた。

「ジロー?」

すぐそばまで近付いて呼びかけてみても反応はない。

「しばらく起きないよね。」

小さく笑って、私は芝生にうつ伏せになって頬杖をつき、ジローの顔を逆さから覗き込んだ。

無防備な顔で眠っているジローを見ていると、なんだか穏やかな気持ちになる。

くるくるしている金色の髪に手を伸ばす。

ふわふわと手触りのいい髪をなでていると、閉じられていたジローの目がゆっくりと開いた。

「なまえ……何してんの?」

「ジローの寝顔見てた。」

「え〜 恥ずかCからダメって言ってるじゃん。」

「ごめんごめん。」

「もー、ほんとに悪いと思ってるの?」

少し笑いながら謝ったら、ジローは不満そうに頬を膨らませてしまった。

「うん、思ってる。だから、機嫌直して?」

私は首を伸ばして、ジローの唇に軽く触れるだけの口付けをした。

「…それだけ?」

「じゃあ、膝枕する?」

「それもいいけど、一緒に寝よ。」

ジローが自分の隣をぽんぽんと叩く。

「うん、いいよ。」

ジローの隣に寝転がると、すぐに抱き締められた。

「へへー なまえ、大好き。」

「私もジローが大好きだよ。」

温かい腕の中でそう伝えると、ジローが私の頭のてっぺんに口付けた。

「なまえ、良いにおいする。」

「そう、かな?」

「なまえのにおい、好き…」

眠そうな声のジローの目は今にも閉じそうになっている。

「おやすみ、ジロー。」

「……うん、おやすみ…」

すぐにジローの寝息が聞こえてきて、思わず笑みがこぼれる。

ジローの胸の中で自分もそっと目を閉じると、穏やかに吹いた風が優しく頬をなでた。



一緒に休みましょう

(2011.09.28)

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