黒木綿×桜 | ナノ


▼ 02

「ここの素敵な所って、何より一世帯につき一部屋どころかワンフロア与えてくれるとこよね」
「一世帯っつーかお前俺んとこ住んでるけどね」
「最高。私の為だけに何部屋分の大きさの部屋があると思ってるのよ」
「お前殆ど俺の部屋にいるけどね」
「だってあんな大部屋一人で使える訳ないじゃん。私は寂しいの!」
「はいはい」

私は、いつもの様に同じフロアで暮らしている反ノ塚連勝のベッドで寝転がっている。
連勝は床に座って、ベッドにもたれて。
二人でごろごろうだうだしながら平日の昼間のテレビを見ている。

「あれよね。平日の昼間のテレビってひたすら飽きないように作られてるから面白くないよね」
「それ言うなって。ほら、いいかも始まった。タモツさん来たぞ」
「いいかもーっ!!」
「ノリノリじゃねぇか」

春休み。
何もする事がない休み。
夏休みのように大きなイベントもなければ、冬休みのように宿題に追われる事もない。
暇。

「連勝。なんか楽しい事」
「おー…。遙、それはこの世で最もしてはいけないフリだぞ」
「連勝」
「何ー、遙ちゃん」
「ひま」
「俺も暇」

する事がない。
連勝のSSの雪小路野ばら(私のSSもしてくれているらしい)は今日は副業。
ショッピングも行けないし…。
いや、別に連勝と二人でもいいんだけど。

「……ん?」
「どしたー?」

今の音…。
ベッドから降りて、窓際へ。
ベランダから身を乗り出して道路を覗くと、予想通り一台のトラックが止まっていた。
あの有名な引っ越し業者。

「何かあった?」
「連勝。あんたの言ってた凛々蝶って子、引っ越してくるの今日じゃないの?」
「…そうかも」

そうかもって。

「早く迎えに行ってあげなよ」
「そうだな。凛々蝶ちゃんは寂しがり屋だからな」
「私とどっちのが?」
「んー…。凛々蝶は寂しいのを隠してる分強いからなー。凛々蝶のが寂しがり屋じゃないか?」
「ほう…。私に勝つとは、中々見込みがあるじゃない」
「何の対抗意識?」

私達が3号室だから、たぶん凛々蝶は4号室。
昨日、御狐神双熾が4号室にSSとして引っ越してきてたから凛々蝶のSSかな。

「あ、いたー。可愛い子だ」

野ばらが喜びそうだ。
メニアックとかなんとか。
白鬼院だから、あれだ。
呉服屋だ。
私も何着か白鬼院の着物持ってるし。

連勝が帰って来るまでベッドでごろごろしてタモツさんの話を聞いてる事にした。





「おかえり」
「おー」

案外早く連勝は帰った来た。
荷物整理とか手伝うものだと思ってたけど。

「手伝いは無用だって」
「連勝とはいえ、男だしねぇ」
「そうかー。凛々蝶、もうそんな年かぁ」
「おっさんみたーい」
「やめてー。傷つくー」

結局その日は一日、連勝とごろごろうだうだして過ごした。
…春休み、バイトのない日は毎日こんな生活してる気がする。










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