▼ 04
懇親会は私たち先輩は休み。
バイトもないのでいつも通り連勝の部屋でゴロゴロする。
双熾は凛々蝶が心配で、新しいSSがつくまでは、と懇親会に着いて行った。
野ばらは凛々蝶とカルタの保護者として。
だから、今この妖館には殆ど人がいない。
「懇親会…懐かしいねぇ」
「そだなぁ。あんなラフな格好で来る奴いなかったもんなぁ」
「あんなにタキシードが似合わない人もいないもんねぇ」
連勝はスーツのが似合う。
でも、スーツも派手な色シャツでネクタイは緩め。
893みたいな格好なら似合う。
真面目スーツは似合わない。
ちなみに、あたしはワンピースで行きました。
悪い?
「双熾と凛々蝶は大丈夫かな…」
「まぁ、野ばらもついていってるし、大丈夫だろ」
「え、何で二人共濡れてんの!?」
「む…」
ちのから受け取ったバスタオルで包むように凛々蝶を抱きしめる。
何故か懇親会から帰ってきた二人は濡れていた。
懇親会の会場には毛布しかなかったらしく、まだ微妙に濡れてる。
着替えもなく、そのまま帰ってきたようだ。
「双熾は大丈夫だろうけど、凛々蝶風邪引いちゃうよ!!お風呂入ろ?」
「ああ」
「連勝、双熾、あたしと凛々蝶の着替え用意しといてねー!」
「え、遙も入るの?」
連勝の言葉を無視して凛々蝶の手を引いて大浴場まで向かう。
別に私まで入る必要はなかったんだけど、なんとなく。
あの様子だと仲直りできたみたいだし。
これは話を聞きたい。
双熾や連勝がいたら凛々蝶も話し辛いだろうし。
「千本木さんまで入る必要はあったのか?」
「んー、ないけど。ガールズトークでもしようよ」
二人で湯船に浸かりながら。
お風呂って服とか全部脱ぐから、心も裸になって本音が出やすいとか聞いたことある。
「……仲直りできた?」
そっと囁く。
「…ああ」
同じように返事が返ってきた。
よかった。
「双熾、あんなだから誤解する事もあると思う。しれっと嘘つくし、信じれなくなる時もあると思う。でも、双熾が凛々蝶を大切にしてるのは、双熾の本心だよ」
「…うん」
「それだけは、他の何を信じられなくても、信じて」
「…うん」
脱衣場から「二人とも、着替え置いておくからねー」という野ばらの声が聞こえた。
返事をして凛々蝶とはもって、顔を見合わせて笑った。
to be contnued.
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