黒木綿×桜 | ナノ


▼ 03

基本的に妖怪は、人間に関わらない。
人間に富をもたらしたり、時には不幸にしたり悪戯をしたりする妖怪もいるけれど、殆どが姿を見せていない。
人間と妖怪は、そもそも交わらないもの。
同じこの世界に住んでいながら、明確な境界がある。

それが曖昧になるのが、闇。

特に逢魔が時と呼ばれる夕暮れは、その名の通り『魔に逢う時間』。
そんな時、人間にちょっかいをかける妖怪は意外といる。
大抵が、好奇心から。
そして力量を誤って殺してしまう妖怪もいるのだけれど、それも自然の摂理。

それを逸脱する妖怪もいる。
人間の、血の味を覚えた妖怪は、餓えた獣の如く人間を襲う。
そんな堕ちた妖怪を"消す"のが霊殿の仕事。

闇に生きる妖怪に"死"はないと言われているけれど、実際はある。
"死"というよりは"滅"だけれど。
古くは陰陽師や巫女がしていた仕事。

妖怪と人間の間に生まれた半妖。
そしてその始祖妖怪の血を濃く受け継いだ私達先祖返り。
先祖返りは、純血の妖怪に襲われる事が多い。
純血の妖怪は私達の存在を良く思っていないから。

その襲われやすい先祖返りの中でも、特に妖怪が寄ってくるのが、千本木遙。
私。

霊殿の仕事は、堕ちた妖怪を"滅"する事。
その恨みというか、怨念というか。
とにかく、純血妖怪の中の、堕ちた妖怪に狙われる。
代を重ねる毎に、当然だけれど、"滅"した妖怪の数は増える。
きっと、今まで"滅"してきた妖怪の何かが私の中に蓄積しているんだと思う。

それに釣られて、妖怪は集まる。
仇を伐つように。

そんな事をしているから、千本木遙にSSは付かない。
今回は野ばらが連勝のついでに私のSSもしてくれるそうだけれど、基本的には持たない。
今回だけじゃなく、前回も、その前も。

堕ちた妖怪の情報は、悟ヶ原家が掴んでくる。
私は、思紋さまから連絡が入った日の夜、外に出ればいい。
後は向こうから襲ってくるのを待つだけ。
だから全部後手後手に回って、怪我をしたりするんだけど。










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