黒木綿×桜 | ナノ


▼ 02

【反ノ塚side】

凛々蝶と御狐神サンの歓迎会中、遙は倒れた。
色々なものを食べて、少し休憩にと寄ってきたカルタに抱き付かれた時。
体が揺れて、カルタにもたれるように。

「ちっ。部屋に…」

抱き上げて連れて行こうとしたら、御狐神サンに止められた。

「僕が運びます。お兄さま」
「御狐神サン?」「御狐神くん?」
「"仕事"後倒れた彼女に不用意に近付かないで下さい。髏々宮さん、失礼します」

そのまま、遙を抱き上げる。
遙は少し身動いて御狐神サンに顔を寄せるように体制を変える。

「待てよ。不用意に近付くなって…」
「殺されますよ…?」
「っ」

御狐神サンの目は冷たかった。
まるで、遙に殺されかけた事があるかのように。

「僕も行く。寝かせるなら着替えなければいけないだろう。まさか御狐神くんがする訳にはいかない」
「ですが、今の遙は…」
「煩い。行くぞ」
「……俺の部屋」
「ん?」
「俺の部屋使え」
「…分かりました」

何も出来ないのか?
俺は。
御狐神サンは"仕事"内容を知ってる。
そして、それに対する遙の心境さえ。
全部。
俺の知らない事、沢山。
俺は…。





「ん…」
「気がつきましたか?」
「双熾…?」
「ええ」

見慣れた連勝の部屋。
でもそこに連勝はいなくて、双熾と、遠くに凛々蝶。

「凛々蝶、ごめん。大丈夫…?」

双熾がいるから凛々蝶に怪我はさせていないだろうけど…。
双熾は大丈夫だし…。

「ああ。大丈夫だ」
「ごめん…」
「何も謝る内容がないぞ?」
「え?」
「僕が近くにいたからでしょう。大丈夫でしたよ」

私、凛々蝶に何もしてない?
近くに双熾がいたからって…。
昔は尚更…。

「遙も成長したのではないでしょうか?」
「双熾。嘘はいらない。そんなの、やだ」
「……遙」
「本当は私、凛々蝶を襲ったんだよね?」

もう嫌になる。
霊殿の仕事も、それを全う出来ていない自分も。
悔しい。

「もう…大丈夫だから。連勝呼んでもらっていい…?」

全部話したい。
連勝を傷付けてしまわなければいいけど。










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