黒木綿×桜 | ナノ


▼ 02

今夜は仕事…。
そう思うだけで今から憂鬱。
なんとなく連勝との間にも微妙な空気が流れる。
いつも、こう。
思紋さまから仕事の電話が来ると、その度に似たような会話をして、こうなる。

「はるちゃん…おはよう……」
「わっ。カルタ、おはよ」
「遙ちゃんおはようっ!!どうしたの?落ち込んでる顔もメニアックよ!!」

カルタと野ばら。
カルタはいつも通り、顔を見た瞬間にもふっと抱き付いて来る。

「お、落ち込んでるかな…?」
「ええ。テンション低いわよ?」
「そうかな…」
「…反ノ塚、はるちゃんに何かした……?」

カルタは何故か真っ先に連勝を疑う。
いやいやいや。
それは連勝がちょっと可哀想でしょ。
いや、確かに連勝とごたごたあったんだけど。

「ん?わり、聞いてなかった」
「ちょっと!アンタ遙ちゃんが落ち込んでるんだから!!いつもみたいにぼやぼやしないで!!」
「反ノ塚……はるちゃん泣かせたら…怒る……」
「んー…、まぁ、俺の所為といえば俺の所為なんだけど」
「連勝の所為じゃ…っ。私が、悪い…」

カルタが頭を撫でてくれる。
嬉しい。
こんな私なんかに味方してくれてありがとう。

「連勝の所為じゃないよ。だから、連勝を責めないで」
「でも…」
「うだうだ迷ってる私が悪いの」

申し訳なくて。
優しい連勝に甘えてる自分が悔しくて。
カルタに抱き付いて、肩に顔を埋める。

「決心付けられないだけ」
「…俺は、いつでもいいから」
「……ありがと、連勝」

カルタが私を撫でながら言う。

「じゃあ、反ノ塚が何かしたんじゃ…ない?」
「うん」
「はるちゃんが悪いの…?」
「うん」
「反ノ塚が困ってるの…?」
「困ってるというか、まぁ、なんつーか…」
「はるちゃん、反ノ塚にごめんなさいして…」

カルタは私を撫でていた手を止めると、抱き付いていた私を無理矢理剥がして連勝に突き合わせた。
顔を見辛くて俯くと、カルタの両手が頬を挟んで顔を上げさせられる。

「ごめんなさいして…」
「ご、ごめんなさい」
「え。あぁ、俺も、ごめん」
「じゃあ…朝ご飯……」

私が謝ると、カルタは満足そうに私の手を引いてラウンジへ向かった。





「…で。アンタ何したのよ」
「たまどのについて聞いてた」
「それはね、千本木遙の仕事なのよ」
「うん」
「遙ちゃんが言いにくい事なのよ」
「うん」
「女の子の秘密を暴こうとするなんて、最低な男ね」
「…うん」
「少し影がある方がメニアックじゃない。明るい遙ちゃんもメニアックだけれど」
「溜めて、あいつが潰れちまうよりは無理に聞き出した方がいいと思ったんだ」
「あら。あなた遙ちゃんを見下してない?遙ちゃんはアンタより大人よ」
「知ってる」
「しゃきっとなさい。男なんだから」
「…おー。さんきゅ、野ばら」
「アンタじゃないわ。遙ちゃんの為よ」
「ははっ」
「ところで……」










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