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(か……かっけぇ!!)
鏡に映る自分の片方しかない瞳が、まるでヒーローアニメを見た少年の如くキラッキラ光ってるのに気付き、誰も見てないのを確認してからこほんと咳払いする。
「高杉、入るぞ」
「……あァ」
冷静に。
普段通りの対応をする。
「どうだ、怪我の調子は」
「チッ。まだ血が足りねェ。あと、死角が増えやがった」
「仕方あるまい。片目をやられたのだからな」
「まさか俺がこんな失態やらかすとはな…」
「暫くは安静にして、お前は怪我を治す事だけ考えていろ。後は俺達がやる」
「……チッ」
「鬼兵隊もな」
「あァ、今の俺じゃまともに戦えねェどころか、確実に足引っ張らァ」
ヅラと話している間も、左目に包帯を巻く時に使った鏡に目がいってしまう。
くそ。
「あっれェー?」
ヅラが開けたままにした障子から銀時が顔を出す。
その顔はにやにやと笑っている。
「高杉クンどーしちゃったのその目!!写輪眼でも移植してもらったんですか?」
「煩いぞ銀時。高杉は暫く戦えんのだ。しゃきっとしろ」
「ぷくく。カッコいいよ高杉クン似合ってるよ?」
「銀時、」
「っせーな。分かってるよババアは出てけよ!!」
「銀時、母親に向かってそれァねェだろ」
「そうよ!!アンタをそんな子に育てた覚えはないわ!!」
すっかり母親気取りで部屋から出ていったヅラ。
相変わらず扱い易い奴だ。
「と・こ・ろ・で。高杉クン?」
「ククッ。分かってらァ」
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