銀短編 | ナノ


▼ 04

「土方さんっ!!」

水を飲んで、いくらか舌のしびれがとれたので、縁側で煙草をふかしていた。
慌てた様子でななしが駆けてきた。

「なんだよ?」
「いえ…その、すみません…でした。沖田さんがあんなわさび入れてると思わなくて…」
「…いや、いい。俺の不注意だ」

そうだ。
俺の不注意。
普段ならこれくらい気付けてたもんなァ。

「…土方さん、ちょっと戻ってきてもらえますか?」
「なんでだよ??俺もう食えねェぞ」
「いいから」

渋る俺を無理やり引っ張って、ななしは広間へ戻ろうとする。

「…ちょっと待っててくださいね」

そう言って、ななしはふすまを少しだけ開けて、その身を滑り込ませた。
何故か広間は、今まで宴会をしていたとは思えないくらい静まり返っている。
…あァ。
なんとなく想像はつくぞ。
どうせコレ、ふすま開けたら全員が土下座してるとかそんなんだろ。
俺があの砂糖菓子でキレてると思ってんじゃねェのか??
いや、確かにアレは後で全員切腹だが…。

「よい、っしょ」

再び、ななしがするりと出てきた。

「さ、開けて下さい、土方さん」

開けて何言うんだ??
まァ…切腹、の一言だよな。
ガラ

「せ…



「「「「「誕生日、おめでとうございます!!副長!!!!」」」」」



「……っぷく」

あ??

「おめでとうございます、土方さん」
「これァ…」
「土方さんの誕生日パーティですよ??」

さっきまで子供の日の飾りをしてあった室内は、ガキの誕生会みてェに飾り付けをしてあった。
ご丁寧に『おめでとう』なんて天幕までかかってやがる。

「はい、アレ。皆からのプレゼントです」

ななしの指さす方を見れば、山になったマヨネーズ。

「てめェら……」

すっと下を向く。

「(ふ、副長もしかして泣いてる!?)」
「(そんなに嬉しかったのか!?)」
「(やべェ、なんか俺も嬉しくなってきた!!)」

そして、笑って顔を上げた。


「これでさっきのが許されたとでも思ってんのか??全員切腹に決まってんだろうがァァァ!!!!」
「「「「「ええーっ!!!!!!???」」」」










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